第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#15
戦慄の暗殺者 〜White Stranger〜
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ぎぬ》の話を君にしても詮無き事だな』
そう言うとフリアグネは再び長衣を翻してその両手を組み、
嫌味なほど衒いのない笑顔で花京院へと向き直る。
そしてその透き通るようなパールグレーの瞳で、
花京院の瞳を真正面から見つめてきた。
『さて? では私の語らいに対する返答は如何に?
流麗なる “法皇の翡翠” 花京院 典明君?』
そう言ってフリアグネは、耽美的な口唇をより深く笑みの形に曲げる。
「……考えて、おこう」
花京院はそれだけ告げて、
クラシックなデザインの椅子から腰を上げフリアグネに背を向けた。
『では、明日また、同じ時間にこの場所で』
背後で先刻よりも調律の狂った声色がした。
『良い返事を期待しているよ? 花京院 典明君。 フフフフフ……』
『ご主人様と一緒にこれからよろしくお願いするわ。
仲良くしましょうね? カキョウイン』
歩き出した花京院の背から、喋る人形とその主の声が
笑みと共に自分を追いかけてきた。
エンヤを通して、ジョースター討伐の勅命が下ったのはその直後だった。
フリアグネには何も告げず(その暇もなかったが)
そのままエジプトからエンヤ所有の個人機で直接故郷の日本へと向かった。
『星の白金』 空条 承太郎を抹殺する為に。
もしあと一日、勅命が遅れていたのなら。
もし次の日に、あの男の前に立っていたなら。
果たして自分は、一体なんと答えたのだろう……?
脳裏に甦った、解答無き問い。
それは現在の疑問を前に、花京院の頭から掻き消えた。
「しかし、一体何故? 学校で能力を発動させたんだ?」
白い封絶の放つ火の粉と気流で、バレルコートのように長い学生服の裾が靡く。
そのとき、直感にも似た確信が脳裏を過ぎった。
「まさか!? 空条が! 今此処にいるのか!?」
驚愕に花京院のその琥珀色の瞳が見開かれる。
「信じられないがそれしか考えられない! 全くなんてヤツだ!
『エメラルド・スプラッシュ』 の直撃を受けていながら、
その傷がたったの一日で完治したというのか!?
そんな凄まじい耐久力と再生力を持つスタンドなんて今まで聞いた事もないぞッ!」
承太郎の強大なスタンド能力に驚嘆しつつも
花京院の胸裏に言いようのない焦燥感が迫り上がってくる。
本人の自覚のないままに。
「空条ッッ!!」
花京院は黄楊の油で磨き込まれた学生鞄を
無造作に芝生へと放り投げると、耳元のイヤリングを揺らしながら
昇降口に向けてアスファルトを蹴った。
【2】
承太郎とシャナは、木造旧校舎三階から新校舎とを繋ぐ噴水の設置された中庭を
軽々と飛び越え、新校舎とは別棟にある図書室の前へ
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