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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#15
戦慄の暗殺者 〜White Stranger〜
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子の紡ぐ声は、
何処か調律が狂った弦楽器のような韻を含んでいた。
 その怜悧な瞳に宿る端麗な光が、今まで押し隠し続けてきた
心の暗部を照らし出し、無言のままに問いかけてくる。




“孤独なんだろう?”




『誰も、自分の “真の姿” を知る事が出来ないから。
だから、誰にも心を開けない、だから、誰にも心を許せない』
 そして蠱惑的な誘惑と共にこう語りかける。
『安心し給え。私には視える。“君の真実の姿” が。
私には聴こえる。君の “もう一つの存在” の声無き声が。
この世界で、“私だけは君の全てを理解してあげられるよ” 』
「……」
 そのフリアグネの、やや軽薄な見かけと口先とは裏腹の
尖った鏃のような洞察力に花京院は本能的に警戒心を抱く。
 その花京院の微妙な心情の変化をパールグレーの瞳で素早く見抜いた
フリアグネは、すぐに一歩引いて(なだ)(すか)す。
『おおっと、そう警戒しないでくれたまえ。
別に疚しい下心や他意は一切無い。
君の知性と精神に対する純然な敬意と好意さ』
 そう言って大仰に開いた両手を、演技っぽい動作で左右に振ってみせる。
 大袈裟なリアクションが余計に花京院の警戒心を尖らせた。
 その様子を黙って見つめていたフリアグネの胸元で抱かれている人形、
“燐子” マリアンヌが笑みの形で結ばれた口を一切開かずに言葉を告げる。
『アナタ? 何を勘繰(かんぐ)っているかは知らないけれど、正直それは無粋と言うものよ。
私のご主人様を信用なさい。
ご主人様に好意を抱かれ友人に選ばれるなんてとても名誉な事よ?
この方は誉れ高き紅世の “王” なのだから』
 純白で鈍い光沢のあるシルクの手袋に、
スッポリ収まってしまう程小さい人形は
その愛くるしい見かけには不相応な清廉な声で言った。
 その途端、
『マリアンヌ!!』
急に先程以上の芝居がかった過剰な演技で
フリアグネは右腕を悩ましく折り曲げて額に手を当てる。
『よしておくれ私のマリアンヌ!
友人同士の信頼関係の前にはそのような身分や肩書きなど障害でしかない。
私が望んでいるのはそんな低俗な関係ではないのだよ!
解ってくれるだろう? 私のマリアンヌ? 私の友人は君の友人でもあるのだから』
 フリアグネはまるで赤子をあやすような悲哀滋味た声で
マリアンヌに告げる。
 心なしかそのパールグレーの瞳も潤んでいるようにも見えた。
『申し訳ありません。ご主人様。出過ぎた真似をしてしまいました』
『謝らないでおくれ、私のマリアンヌ。
先に君に言っておかなかった私が悪かったんだ』
 フリアグネはそう言うと今度は過度に優しい笑みを口元に浮かべ、
マリアンヌのフェルトの頬にそっと口づけた。
 まる
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