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遊戯王EXA - elysion cross anothers -
TRICLE STARGAZER
TRSG-JP001《その粛清に正義はあるのか》
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 夜神(やがみ)(さくら)は転生者だ。
 水咲凍夜をサポートするために、神によって殺された。しかし彼女は神を憎んでいない。神には"不慮の事故"やら"操作ミス"やらという露骨な言い逃れ手段が豊富にあるからだ。
 それに気づくことなく、彼女もまた他の転生者狩りと同様に、水咲に好意を抱いていた。それさえも、神の用意した"設定"だと気づかずに。
 ……その彼女が、彼の遺した【水精鱗(マーメイル)】を使っていることは、まあ必然と言えるだろう。しかし、しかしだ。
 ……その神さえも、予想していなかったのだ。

「大丈夫? えっと……」
「黒乃だ。望月(もちづき)黒乃(くろの)
「了解。望月黒乃ね」

 転生モノの二次小説を全面的に否定するために創り出した最強の主人公。転生者を見抜くだけでなく、その転生者の能力を無効にする能力。加えて、闇のゲームを生成する能力とどんなことであっても絶対に勝つ能力。
 それが、転生者・水咲凍夜であった。故に、彼に勝つことは誰であっても許されない。それなのに彼は……殺された。

「ありがとうな、何度も……」
「何度も? ……ああ、あの時桜井君と一緒にいたね」

 ……まさに今、闇に飲まれようとしていた転生者・望月黒乃を救出した、この少年に。

「なんで、ここにいるんですか……!」
「ん? ああ、デュエルディスクの先行体験会に間に合わなかったから適当にうろついてただけ。それで、偶然地面に埋もれてる人がいたから引っ張っただけだよ」

 嘘だ。これが偶然? たかが偶然ごときに、転生者を二度も守られてなるものか。

「さて、悪の手先さんもしつこいことだね。そこまでして彼を苦しめたいの?」
「悪者のくせに人を悪役扱いしないでください! 先輩を殺しておいて……!」

 憎悪に満ちた少女の声。彼女の持つそのデッキが、それに応えるように蒼き光を放つ。
 対して水咲の仇、風見蓮の返した言葉は……

「水咲凍夜……ああ、あれか。よかったじゃん、闇に魂を喰われる前に成仏できて」

 ……しかしその言葉は、2人にとってはあまりにも常軌を逸した発言であった。

「何がよかったですか! 先輩を殺しておいて、よくもそんな……!」
「待ってくれ風見! 闇に魂を喰われるって、どういうことだ!?」
「……あれ、まさか知らないままデュエルしてたの?」

 まるで、それは彼にとっては常識であるかのように驚愕する。
 しかし、彼がどんなリアクションをとったところで望月が理解することはない。諦めたように溜め息をつき、彼は言葉を紡ぎ始めた。


「じゃあ、教えてあげようか。闇のゲーム……その本質を」


    to be continued...
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