インターミドルに向けて
二十五話
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それにアレクさんは――」
まだ何かあるのかと興味津々なミカヤに、アインハルトは言いあぐねいていた。
此れはアレクの中に潜むモノであり、言った所で到底信じられるようなモノではない。迂闊にもつい口にしてしまいそうになったが、本来軽々しく口にして良いことでもない。ノーヴェの友人だからといって、付き合いの深さは今の自身に察せないのだから。
俯くアインハルトに、ミカヤは覗き込むようにして言った。
「私とナカジマちゃんはそこそこ仲が良いつもりだよ。だから、ナカジマちゃんが紹介されたキミ達のことは無暗に喋ったりしないさ。少し込み入った事情があるくらいは聞いてるしね」
ならば良いのだろうか。アインハルトはミカヤと目を合わせ、尚も悩んで、言った。
「アレクさんは……その、ご先祖の力……膨大な戦闘経験を宿してるのです」
「先祖の……戦闘経験!?」
「その経験が開花した時、私は……気付けば地に伏していました」
ミカヤは目を見開かせ、信じられないとばかりに首を振った。
「信じられないと思いますが……」
「あ、いや、そうじゃないんだ。まさか――」
やはり信じられないかと思い込むアインハルトに、ミカヤは再度首を振る。すぐに受け入れられず驚いた理由は違ったのだから。
「――まさか他にも居るなんて思いもしなかったからね」
――危機に陥ると“ギフト”を表す彼女と同じだったのだから。
彼女は相手を傷つけずルールの範囲内で戦うインターミドルの選手。離れての射砲撃、近接での徒手格闘、密着状態では掴み技すらあり、距離を選ばず戦える総合格闘者で、楽しく戦うことを指針にしている。
だが痛打を受け、一度危機に陥れば、意識が切り替わり変貌する。宿した神髄を露わにする。
放つ技は強力無比、切り替わった彼女を引かせた相手はまだ存在しない。ミカヤも、その一撃の下に粉砕されたのだ。
(ナカジマちゃんも気を利かしてくれる……)
ノーヴェがミカヤにスパー相手として2人を紹介したのは、双方にとって利になると思ってのことだったのだろう。
アインハルトとアレクは対武器戦闘を。ミカヤにとってアインハルトは純粋に対徒手選手としての、アレクは再選相手としての。最も、片方はお流れになってしまったのだが。
ミカヤは自身を落ち着かせるよう茶を喉に流し、疑問顔のアインハルトを促すよう先に立った。
「さて、疑問に答えたいところだけど……身体が冷え切らないうちにもう一試合しようか」
「はい!」
再び道場に足を踏み入れると、まだ続けているアレクと、その姿を見続けるアルの姿が映る。
最初の動きに比べ、硬さが取れつつあった。リストバンドの負荷になれつつあるのだろう。アルもアレクを逸早く知るべく観察を続けている。
そ
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