インターミドルに向けて
二十五話
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むとしよう。アインハルトちゃんもお茶でよかったかな?」
「はい。ご相伴に預からせていただきます」
「そんな大層なものでもないよ」
縁側に腰を下ろし、差し出された茶を礼儀良く頂きますと言ってから手に付ける。一口含むと、僅かの苦みと共に奥深い澄んだ茶葉の味が広がっていった。
思わず吐息が漏れると同時に、まだどこかしら強張っていた身体が解れていく。
「どうやら口にあったようだね」
「はい。とても美味しいです」
それは良かった、とミカヤも湯飲みを傾けた。
「それで、対武器相手として少しは役立てたかな?」
「はい、それはもう十二分に。ですが、こちらばかりが胸を借りる形になってしまって」
「此方は此方で十分為になってるから大丈夫だよ。欲を言えばアレクくんとも試合してみたかったけどね」
「それは……申し訳ありません」
「あぁ、気にしないで。次を楽しみにしてるから」
本来ならばミカヤはアインハルトのみならずアレクとも試合する予定であった。負荷を掛けるリストバンドをすれば、交互にミカヤと戦かって丁度良いサイクルで回せるだろうとノーヴェは踏んでいた。しかし前日アレクは人知れず無茶をやらかした――アレクが口を割らない為に真相は不明である――ので、アインハルトのみとなってしまったのだ。
ミカヤとしても、アレクと戦えないことは残念に思う。何故ならば、ノーヴェからリベンジしたい相手の特徴と近いモノを持っていると聞いたからだ。
ただ試合は今回だけでなく、お互い大会まで機会があればまたという約束もしているので、孰れ手合わせする機会は訪れるだろう。大会で戦う相手も1人ではないので多種多様な試合は為になるのだ。特にアインハルトのような直向きの相手は此方の闘争心を掻き立てられるので十分に有り難かった。
だが、そう思うのはミカヤだけであり、アインハルトはまだ申し訳なさそうに眉を落としていた。
「アインハルトちゃんが悪い訳じゃないよ」
「しかし……」
「ナカジマちゃんに聞いた以上に真面目な子だね。じゃあ……そうだな、アレクくんのスタイルとか特徴とか教えてくれるかな?」
「はい。それで宜しいのなら……」
ミカヤの言い分にアインハルトはどうにか自身を納得させ、話し始める。スタイルは同じく徒手格闘型、動きも早く爆発力もある強打者等々、前世の事柄を除いて。
そして気分変え半分興味半分で聞いたミカヤだが、思いのほか話に聞き入っていた。特に覇気という単語を耳に入れてから。
インターミドルにおいて魔力を用いず戦う者はまず居ない。居ても実力隠しの為に使わないか、伊達や酔狂で戦う者くらいだ。だがアレクはそのどちらにも属さず、増してや覇気でアインハルトと渡り合い、下していると言う。
「それは凄いね」
「はい……本当に。
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