百五 白の双璧
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ているらしいクスナとセツナの姿をも別の崖の上に認め、ナルトは思考を巡らせた。
「君麻呂」
呼びかけ一つで把握した君麻呂が、水龍の術者たるシズクに向かって疾走する。
その間に、ナルトは敵の目的である紫苑に顔を向けた。訝しげに見返した彼女の額を、とん、と軽く指先で触れる。
次の瞬間、ガクンと意識を失った紫苑をナルトは素早く抱きかかえた。何が起こったのかも解らぬまま寝入った彼女を、ナルトは白の背に乗せる。
「任せたよ」
「承知致しました」
ナルトの意を汲んで、紫苑を背負った白が地を蹴る。
怪我の功名か、水龍に追われる内に峡谷を抜け出たようだ。沼の国に続く森の中へ入って行く白を見送りながら、ナルトは素早く印を結ぶ。
その背後から迫り来る水の龍。
鎌首をもたげ、カッと口を開いて今にも呑み込もうとする龍を、ナルトは平然と仰いだ。
瞬間、龍を象った水が弾ける。
術者であるシズクの集中を君麻呂が途切れさせたのだ。術が解け、水龍は形を失い、ただの水に戻る。龍の名残の水飛沫が、雨の如くナルトに降り注いだ。
「…さて、」
白の後を追う影二つ。君麻呂の前に立ちはだかる影二つ。
標的の紫苑を背に駆ける白を狙うクスナとセツナ。君麻呂と対峙しているシズクとギタイ。
「一人は君麻呂に任せるとして、残りは……」
頭から被った水が顎を伝って地に落ちる。それを拭いながら、ナルトは不敵な笑みを浮かべた。
「…?――俺が相手をするか」
「来たでありんす」
「……の、ようだな」
近づいて来る君麻呂の姿を真正面から見据え、ギタイとシズクは手筈の再確認をした。
「わかってるね?ウチらの役目は―――」
「奴ら全員、あちきがやってもいいんでありんすよ?」
シズクの言葉を遮って、ニヤニヤと嗤うギタイの視界を五つの白いモノが横切った。
それは殺傷力を伴う白い弾丸?――君麻呂の【十指穿弾】。
飛ばされた指の骨飛礫がシズクの足場である岩場に打ち込まれる。ギョッとしたシズクが慌てて後方へ飛び退いた。
集中力が途切れ、水龍が弾けて水に戻る様を遠目で確認し、チッと舌打ちする。
だが体勢を整える前に、ひゅっと何か弦のようなモノがシズクとギタイ目掛け、襲い来る。
反射的に身を屈めたシズクの頭上を通り過ぎたソレは、ギタイの巨体を弾いた。
チャクラ蟲により巨大化しているにもかかわらず、ギタイの身体を吹き飛ばしたソレは、骨で形成された鞭。
背中から引きずり出した脊柱を手に、一瞬で間合いを詰めた君麻呂がシズクに向かって鞭を薙ぐ。
「ぐ…っ」
背を仰け反らせて脊柱の鞭を辛うじてかわす。寸前まで己が立っていた岩場が砕かれて濛々と土煙を上げた。
君
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