百五 白の双璧
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の姿を目にして、渇いた唇を舌で舐めた。
唾を呑み込んで、気を引き締めるクスナだけが紫苑ではなく、ナルトを注視していた。
「兄さん、早く頼むでありんす!」
チャクラ蟲の危うさを理解していないのか、催促するギタイを呆れた眼で見遣りながら、クスナは己の体内に仕込まれた異物に意識を向ける。
黄泉から手渡されたチャクラ蟲がクスナの身体から飛び出して、そのおぞましい姿を露わにさせた。
ぬらぬら揺れていた三匹の蟲達は、おもむろに前方に立つ三人の青年達の首筋に食いつくと、その身をずぶずぶと体内へ潜り込ませる。
「キタ――――ッ!!でありんす!」
ギタイとセツナの顔が歓喜に歪み、奇声を上げる。クスナのみ、嫌そうに身を捩っていたが、やはり蟲の影響か、額に玉の汗を掻きながらもやがて全身を震わせる。
瞳孔が開き、まるで漆黒の穴の如く、真っ黒に染まる双眸。刺青のような模様が身体全体を覆ったかと思うと、体形の節々が変形してゆく。
両肩が盛り上がったギタイの腕は棍棒以上に太く巨大化し、逆立ったセツナの髪は鬼の角のように尖っている。
細身の体形こそ変わっていないシズクでさえも、その肘からは刃の如き鋭い突起物が生えていた。
異形の姿に成り果てた三人の同志を、クスナは複雑な想いで眺めていた。
本当ならばこのような手段、使いたくは無かった。だが主である黄泉、否、【魍魎】の命令に背く行為を仕出かすほど、クスナは強くない。
それに、チャクラ蟲の力を用いるくらいの事をしなければ、あのナルトという少年には到底太刀打ち出来ないだろう。
対面したのは一度だけだったが、あの一瞬の邂逅だけでクスナはあの少年に畏怖を覚えた。同時に、認めたくはないが、畏敬の念を抱いたのも確かだった。
けれども、自分の主は黄泉なのだ。
もう黄泉への忠誠心が薄れているのを実感しつつも、クスナは己にそう言い聞かせる。
たとえ【魍魎】に身体を乗っ取られていようとも、黄泉自身既に他界していたとしても。
峡谷の遥か先のほうで、大きな水煙が立った。
激しい水飛沫を上げながら次第に迫り来るソレは、龍を象った大量の水。
【水遁・水龍弾の術】の龍以上の大きさを誇るソレが巨大な口を開けて、ナルト達目掛けて押し寄せてくる。周囲の岩を粉砕しながら突き進んでくる水の龍に、紫苑が白を非難した。
「火ではなく水で攻めてきているではないかっ!大外れじゃ」
ピキリと顔を引き攣らせる白と君麻呂を宥めながら、ナルトが冷静に「高台へ上がれ」と指示する。
岩を打ち砕きながら峡谷の合間を縫うように追い駆けてくる水龍を尻目に、彼は周囲に眼を走らせた。
案の定、やや離れた崖の上で水龍を操っているシズクとギタイの姿を視界の端で捉える。
同時に、こちらの動向を窺っ
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