プロローグ
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1
流れ込んでくる膨大な情報、驚き慌てふためく白衣の男女、そして歓声が上がるなか走り出す。
これから受け入れなければならない孤独や不安に押し潰されないように。
よくよく考えてみると、幼少期の些細な出来事、中学校での後半2年間が神様に仕組まれたと感じてもおかしくない。
それらのある出来事1つ1つがこのための伏線だったかのように思えた。
現在所属している高校を飛び出し、暗闇のなか大自然に一切の躊躇もなく飛び込む。
心の暗さと対照的に夜空は美しく眩き、心臓の鼓動とは正反対に周囲は恐ろしいほど静かである。
そんな中、ある一声が静寂を引き裂いた。
『やあやあ、君が二人目の男の子だね?』
突如として現れた気配に対して俺は咄嗟に距離をとる。悪意は感じられない。
月の光に照らされた瞬間、思わず体が硬直した。
篠ノ之 束、天才、天災であるが故にかなりぶっ飛んだ性格をしていて、キャラ作りで冷徹な部分を隠しているチートと呼ぶのに相応しい女性、そして自分で凡人たちに歩みより、夢と言う翼を折られた悲しい少女。
なにより、この世界の中心を生み出した張本人であり世界の歪みの元凶。
「沈黙ってことは肯定だよね、それに私の持ってる機械もきちんと作動しているし。いやはや、この私にも分からないことがあるなんてね〜
で、何をそんなに身構えているのかな?」
取り敢えず、人格破綻者のモルモットにされる前にやらなければならないと感じた。
瞬間的に跳躍し、先程の倍の距離をとる。
彼女の言葉を信じるならば、天災は細胞レベルまでも可笑しいらしい、笑えないレベルで。
「別に獲って持ち帰って解剖するって訳じゃないんだけどな。
束さんは単純に君に恩返ししに来たんだよ。」
相変わらず掴みとれないふわふわした口調で依然として話をする天災を前にただ立ち尽くすことしかできない。
「束さんは君という個体に興味があるんだよ。
昔も、今も。
いっくんやちーちゃん、ほうきちゃん意外の人で初めて興味を持ったよ。
私と似ているようで似ていない。
ほうきちゃんを変えて、束さんが欲しくて仕方なかったものを簡単にてに入れさせてくれた
『冷徹』にして『非情』にして『最狂』と呼ばれていた君にね。」
2
俺の態度か、家の仕事の背景か、社会の女尊男卑の影響か、理由はともかくいじめではないにしろ俺としてはひたすら人の悪意を感じて生きていた。
しかし、友人がいないと言うわけでもなく、無視とかそういう程のものでもない。
ただ単に幼少期特有のあいつウザいな、だから少し嫌がらせしようぜ、というものに一番近かったかもしれない。
小さいながらにふと心の中に黒雲がよぎることが多々あった
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