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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン52 鉄砲水とゾンビ軍団
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んだけど、とりあえず体育館に避難してるんだってさ。ほれ立って、ここだっていつまで無事かは分かんないんだし」
「うん……そうだね」

 なんというか、うかつだったとしか言いようがない。よく知った相手だって先入観があったせいで、うっかり気が緩んでいた。ゆっくりと持ち上がった翔の顔に濃い隈と薄ら笑いが確認できたときには、すでに走って逃げだすには遅すぎた。

「でもその前に、デュエルしようよぉ〜……」
「翔、とっくにやられて……!」
「ねえねえ清明君、僕とデュエル〜」

 じりじりとにじり寄る翔から、一歩ずつ下がっていく。背中が壁に着いたところで、少なくともここに留まり続けるのは最悪の選択だということに今更ながらに気が付いた。このトイレの入り口は僕の入ってきた1か所しかなく、位置の関係上窓もない。誰も潜んでいないならある程度安全な場所ではあるのだが、反面ここでぐずぐずしてそれを外のゾンビ生徒に聞きつけられると完全に逃げ道がなくなる。

『そりゃあまあ、そうだなあ』
「チャクチャルさん、気づいてたなら一言注意してよ!」
『あんまり堂々と入ってくものだから、てっきり何か策でもあるのかと』
「僕にそんな深いこと考える知能があるように見える!?」
『…………ふむ』

 そこは当然否定するか、せめて即答して茶化してほしかった。そんなたっぷり時間かけて真剣に考え込まれると、その、自分で言い出しといてなんだけどちょっとへこむ。

「おっと、逃がさないよぉ。デュエル、しようよぉ」
「ぐ……」

 これ以上ここに留まっていると、このまま翔が大声でもあげたら終わりだ。元気な時ならいざ知らず、わっと集まってくるであろう10人単位のゾンビ生徒全員を起き上がらなくなるまでデスデュエルで叩きのめすだけの余裕はない。
 これまで戦った2人の例から考えると、ゾンビ生徒たちはデスデュエルに敗れたら確かにその時だけは倒れるものの、またすぐ何事もなかったかのように蘇る。だけど逆に言えば、そのわずかな時間には隙が生まれる。とすればやむを得ない、デュエルして勝って隙を作り、そこでとっとと逃げ出そう。デュエルディスクを構えると、翔もまたにやにや笑いながらデッキをセットする。

「「デュエル!」」

 先攻は……また僕か。まあでも、このカードがあるなら先攻でよかったというべきか。

「ハンマー・シャークを召喚!さらにカードをセットして、ターンエンド」

 ハンマー・シャーク 攻1700

 いつもならここでさらに展開するところだけど、今日は珍しいことにハンマー・シャークの効果で場に出せるレベル3以下の水属性が手札にいない。ま、そんな日もあるさ。

「僕のタ〜ン、ドロ〜。魔法カード、苦渋の決断を発動。デッキからレベル4以下の通常モンスターを墓地
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