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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン52 鉄砲水とゾンビ軍団
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先輩、今校舎の中にいるザウルス?そこから体育館までどれくらいかかるドン』

 体育館?よくわからないが、ざっと頭の中に学校の地図を思い浮かべてみる。今いる場所がここで、体育館の位置がこの位置だから?今いる場所を大まかに伝え、だいたい5分とかからないはずだと付け加える。数秒の間の後、すまなさそうな声がトランシーバーから聞こえてきた。

『なら、申し訳ないけど俺たちは迎えに行けそうにないザウルス。十代のアニキたちはともかく、丸藤先輩も行方が分からないし……先輩、その近くにゾンビ生徒はいるかドン?』
「ゾンビ生徒?」

 聞き覚えのない単語ではあるけど、何のことを言いたいのかはよく分かった。ゾンビ、確かに言い得て妙だ。

「あれね。散々相手してへとへとだけど、あれなんなの一体?デスデュエルしかけてくる割に妙に手ごたえ無いし、そのくせ倒してもなんかぴんぴんしてるし」
『詳しいことはわからないけど、安全な場所に着いたらわかってることだけでもまた説明するドン。とにかく先輩、もう体育館に無事な人たちはほとんど避難しているから、先に行って待っててほしいザウルス』
「りょーかーい。どうにかやってみるわ、んじゃまた後で」

 そこで通話をやめ、周りにゾンビ生徒がいないことを確認する。音が小さいせいで結構大きめの声になってたから、見つからなかったのは本当に運がよかった。あとは、この運が続くことを祈るだけだ。用心しいしい歩いていくと、前の方をふらふら歩くゾンビ生徒がいるのが見えた。幸いまだ気づかれてはいないけど、近くに身を隠せそうな遮蔽物はない。かと言ってこのまま後ろをついて歩くのもリスクが高い。ちょうど男子トイレがあったので、少しの間やり過ごすつもりで中に滑り込んだ。一応個室ひとつひとつも見回って、中にゾンビ生徒が潜んでいないかだけ確かめる。一番最後の個室の奥、掃除用具の入ったドアも念のため開けてみる。

「……!!」

 とっさに声が出そうになるのを全力で抑え込むため、口を両手で覆う。個室ならまだしもまさかこんな狭いところには誰もいないだろうと思っていたのに、うずくまって丸まっている人がいたのだ。最初の動転がひとまず落ち着くと、その後ろ姿にはよく見覚えがある。

「翔……?」
「怖かったっス、ずっと隠れてたんスよ〜……」

 体育座りのまま、今にも泣きだしそうな声を上げる翔。そういえば剣山も翔は行方不明だって言ってたけど、そらこんなところに隠れてたら見つかるわけもない。でもそのおかげで、外のゾンビたちに捕まることもなかったんだろう。実際捕まったところでどうなるのかは知らないけど。

「まあ、とりあえず無事でよかったよ。さ、体育館まで行こう」
「体育館……?」
「ああ、聞いてないから知らないか。そりゃそうだね、さっき剣山に聞いた
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