ターン52 鉄砲水とゾンビ軍団
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十代ラブを唱えて止まないオレンジの人影を追って、校舎に入り込む。違和感は、自動ドアをくぐった最初の一歩の時点ですでに立ち込めていた。
「あれ……?」
野生のモンスターを警戒するために、この辺りには余裕のある生徒を中心に臨時の警備隊が配置されていたはずだ。なのに、今のロビーには人影どころかファラオ1匹いない。そういえば、ついさっきまでの僕とウラヌスのデュエルにも、あれだけ派手にデカいのとやりあっていたんだから出てきてしかるべきのギャラリーが1人も出てこなかった。
様子がおかしい。ウラヌスとのデュエルにかかった時間は、せいぜい30分と経っていない……そのタイムラグの間に、ここの警備隊が全員退避せざるを得ないような何かが起きたんだ。まだ手に持っていたトランシーバーに、周囲に気を配りながら声を張り上げる。
「十代!十代!聞こえてんなら返事してくれる!?」
建物の中に入ったせいもあってか、どうも電波の調子が悪い。一度外に出て、連絡だけ取ってから出直すか……なんて考えたところで、ふらふらとこちらに歩いてくるラーイエロー生徒に気が付いた。
「なんだ、皆いるんじゃん。駄目だよ勝手に持ち場離れちゃー」
『清々しいまでに自分のことは棚に上げたな、マスター』
「(ああしなきゃ校舎は今頃瓦礫の山だったろうしねえ。今回の僕は流石にノーカンでしょ)」
言い合っている間にもその彼は前かがみな姿勢のまま、特に何か喋るでもなくふらふらと近寄ってくる。一言も喋らないままついに3メートルほどの距離にまで近寄ってきたところでようやく顔を上げるとその目の周りにはこれでもかといわんばかりに隈がかかっており、貼り付けたような不気味な笑顔とのギャップのせいで余計に薄気味悪い表情に見える。
「どったの、何か落ち込むことでもあった?……なーんて、そーいう感じじゃなさそう……だね」
「……エル……」
「あー?エル?」
「デュ……エル……デュエル……!」
聞き取れないほどの声で喋るので思わず聞き返すと、腕に装着したデュエルディスクを起動させながらもう少し大きな声で言い直された。デュエル?僕と?見たところこの彼にもデスベルトは装着されているし、はっきり言って見た目も言動も正気の沙汰とは思えない。
「売られた喧嘩はなんとやら、だけど悪いけど今回はパスで、ね」
「デュエル……!」
しかし、なおもしつこく食い下がってくる。まるで話が通じない、というか全然会話にならない。どうやらこれは、腹くくって1戦やるまで放してくれなさそうだ。
「うー……ったく、後悔しても知んないよ?」
一歩下がってデュエルディスクを起動させると、ニヤニヤと笑いながら向こうも電源付けっ放しのデュエルディスクをそのまま構える。なんだかさっぱりわからないけ
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