第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#14
蒼い霹靂 〜BLACK OR WHITE?!〜
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次々とカゴに入れている。
「……」
その様子をしばらく見ていた承太郎は、
やがてやれやれと軽い溜め息をつき傍にあった冷蔵庫から良く冷えた
緑色のビールの缶を取り出し何本もそのカゴの中に放り込んだ。
「真っ昼間からお酒飲むの? おまえ?」
「感心せんな」
ジト目でこちらを見るシャナとアラストール (?) に、
「 “不良” だからいいんだよ」
と滅茶苦茶な論法で返す承太郎。
シャナはその脇に設置された冷蔵棚から
子供用の甘いコーヒー飲料を取りカゴに入れた。
承太郎は同じ冷蔵棚にあったブルーチーズを
クラッカーと一緒にカゴへ放り込んだ。
いつしか大量のお菓子と少量の食品でいっぱいになった買い物カゴを
ちゃっかり承太郎に持たせたシャナは、最後にレジ近くの棚でパンを選ぶ。
何故か少女がその視線を釘付けにしているモノは “メロンパン” だった。
紅くはないがまるで戦闘中のような真剣な表情で、
何種類もあるメロンパンを慎重に吟味している。
「……」
甘いものが嫌いな承太郎には、顔面からジッパーで無線機を取り出すくらい、
永遠に理解不能の感情だった。
そのシャナの真剣さにつられたのか承太郎は何となく
メロンパンの入った袋を一つ手にとり、
まるで新種の海洋生物でも見るかのようにしげしげと眺める。
「こんなモンの一体どこが美味ぇんだか? 果汁入り、ね……」
その承太郎の呟きにいきなりシャナが立ち上がって
胸を張ったまま凛々しい視線をブツけてくる。
今にも髪と瞳とが炎を撒いて、真っ赤に変質しそうな勢いだった。
「メロンパンってのは、網目の焼型が付いているからこそのメロンなの!
本物のメロン味なんて、ナンセンスである以上に、邪道だわッ!」
突然の大声と主張に、周囲の買い物客たちからも、おお、と声が漏れる。
「やれやれだぜ……」
承太郎は学帽の鍔で目元を覆い、苦々しく呟いた。
結局、厳選の作業にはそれから十分の時を要した。
商品を選び終わり、買い物カゴをレジに置いたその刹那
自分の脇にいたシャナが絶妙の間とタイミングで
「今日はありがとう♪ “お兄ちゃん” 」
と、言った。
声色を使い、顔に年相応の無邪気な笑顔を浮かべて (無論演技である)
その所為で周囲の買い物客の注目を浴びたので
空気的に代金は承太郎が支払う事となった。
(このクソガキ……長生きするぜ……)
心中でそう毒づきながら (無論自分の「分」は出す気だったが)
承太郎はシルクリンクのウォレット・チェーンで繋がれた
パイソンの財布から黒いクレジットカードを取り出し
レジの中年女性に手渡した。
日用雑貨からは個人専用のジェット機まで買える、S
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