暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王EXA - elysion cross anothers -
PROLOGUE EDITION Volume.1
PE01-JP002《少年、これが現実だ……》
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譲ってあげますか。

「いいわよ。ただし、条件が二つあるわ。一つ、次のデュエルは私がやる」
「了解。ありがと、沙耶姉」
「そして、もう一つ……」


 ―――絶対に、勝ちなさいよ。
 ―――絶対に、負けないから。


 ― ― ― ― ― ― ― ―


 異世界の女の子から赤色に光るペンダントを受け取り、目の前の敵と対峙する。

「先に聞いておく。お前等、"望月(もちづき) 黒乃(くろの)"の関係者だな?」
「ごめん、知らない」

 即答。しかし、彼は納得いかないのか問い詰めにきた。

「お前が今さっき庇っていた奴のことだ! 唐突に出てきては奴を逃げさせる……関係者でなかったら何だ!」
「知らない。今さっき偶然ここに召喚されたんだから」

 これは事実だ。正直言って、こんな修羅場の中心に落とされるなんて思ってなかったし。

「それと、勘……かな。君達がやろうとしてることは大体把握したよ」
「……何だと?」
「そうでしょう、"悪の手先御一行様"?」
「……成る程な。裏の裏は表……悪の貴様から見れば俺達は悪者になるわけだ」

 うん、やっぱりそう返してきたか。

「違うよ、俺達の視点から見て君達が悪者だったからそう言っただけ。()()()の視点から見て、君達は完全に悪だよ」
「……お前は何を言っているんだ?」
「自分の意思で人を殺しておいて"俺は悪くねえ"? それっておかしいよね」
「お前は死体の首を切り落としたら殺人だと言うのか?」
「うん、息をしてる人の首をはねたら殺人だよね」
「……おい」
「ん?」
「デュエルしろよ」

 そう言って、敵の男はデュエルディスクらしき物を構える。……と同時に、左手に妙な重みを感じた。見ると、左腕に黒い鎖が繋がれている。

「ああ! それって闇のデュエル?」
「……はっ」

 あ、鼻で笑われた。……これ以上語る気はなし、か。
 右手に握った宝石から、淡い光が溢れ出す。頭の中に、言葉が浮かんでくる。思うがままに、俺は言葉を紡ぎ出した。


決闘展装(Duel-Transer)起動(Action)!」


 それは、硝子が砕けるかのように。
 それは、殻が破れるかのように。
 それは、結び目をほどくかのように。
 それは、宝箱が開くかのように。

 幻想的な光を放ちながら、緋色の珠が展開されていく。
 やがて、光は形を成す。俺の周りに浮かぶ、水晶の板がそこにあった。
 使い方が頭の中に流れ込んでくる。俺の正面に展開される大きな水晶板。その右手前に40枚(メインデッキ)を、反対側にに15枚(エクストラデッキ)を。置き終わると同時、俺の右側に大きな水晶盤が生成された。



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