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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第87話
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にも捕まらないんだから!」

エステルの後に答えたヨシュアの話にユウナは必至の様子で答えた。

「あたし達以外には、ね。―――今、あたし達はユウナとレンの事を全て知った。あんた達の過去、哀しみ。そして嬉しい事や楽しい事も。もう――――逃げ切れないわよ?」

「っ………あ、あきらめると……思ったのに………”楽園”のことを知ったら………エステルはユウナの事を絶対にあきらめて、おねえちゃんだけで満足すると思ったのに………っ!」

「…………………ユウナ……………」

エステルの言葉を聞いて身体を震わせた後エステルに背を向けて涙を流し始めたユウナの言葉を聞いたレンは辛そうな表情でユウナを見つめていた。



「2年前のあたしだったらひょっとしたらそうだったかも。でも、みんなやレーヴェ、そしてユウナとレンに出会えたおかげであたしは強くなれた。過去のどんな出来事も……今のあんたを形作っている大切なものだから………今はただ……愛おしくて仕方ないわ。」

「………ぁ…………」

全てを知ってもなお自分を愛おしく思っているエステルの言葉を聞いたユウナは呆けた声を出した。

「―――本当だったらご両親の元に戻った方がいいのかもしれない。でも僕達は……どんなに我儘と言われようとも家族として君を引き取りたい。それがクロスベルに来て僕達が改めて出した結論だ。―――――勿論父さんや母さん、ルーク兄さん、それに………レンも君を家族として引き取る事に賛成だよ。」

「………っ…………」

ユウナに説明をしたヨシュアに一瞬視線を向けられたレンは身体を震わせてヨシュアの視線から逃れるように明後日の方向へと視線を向けていた。

「………うううっ………そんな……そんなの……っ!」

そして二人の暖かい言葉に心からの嬉しさを感じたユウナが涙を流し始めたその時

「―――――」

「パテル=マテル!?ど、どうして勝手に……!」

何とパテル=マテルが動いてエステルとヨシュアに近づき、その行動にユウナは驚いた。



「も、もしかして……」

「そうか……君もユウナのことを………」

「ふふっ……さすがはユウナの”パパとママ”ね。」

一方パテル=マテルの行動の意図を悟ったエステルは驚き、ヨシュアとレンは微笑んだ。

「――――――」

「………ダ、ダメぇ……!」

ユウナの幸せの為に二人にユウナを託す事を決めたパテル=マテルはユウナの必死の声を無視して自身の片手に乗っているユウナを優しく掴んでエステルとヨシュアの前に下ろし

「―――捕まえた。」

「ぁ…………」

そこにエステルが近づいてユウナを背中から優しく抱きしめ、抱きしめられたユウナは呆けた声を出して抵抗もせず、ただエステルの抱
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