暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王EXA - elysion cross anothers -
PROLOGUE EDITION Volume.1
PE01-JP001《必ずしもテンプレからは始まらない》
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ト類をどけ、2人でテーブルを挟むように向かい合う。

「蓮、マッチにする? 丁度サイド調整終わったのよ」
「大会の調整? いや、時間ないよ? 俺たちすぐに行くつもりだったんだけど」

 お互いにデッキをシャッフルする。

「あ、ゆみな。タイマー持ってきて」
「部長、風見君の話聞いてました!?」
「え、だから大会の調整でしょ?」
「……やっぱり聞いてませんでしたか」
「……え?」


 ― ― ― ― ― ― ― ―


「……もう、大会30分前だったら先に言いなさいよ」
「沙耶姉、言ったよね? 俺、最初に言ったよね?」
「風見君、そう言いつつもデッキ出してたじゃないですか…」

 ゆっくり歩きながら、駅前のカードショップへと向かっている。この信号を越えれば、後は駅へと続く並木道をまっすぐ進むだけ。
 目の前の信号が青に変わった。肩に掛けたカバンから携帯を取り出し、今の時刻を確認する。…丁度午後1時。大会の受付は1時半だから、その15分も前には着くことができるだろう。
 そうして他愛もない話をしながら、私達が横断歩道を半分ほど越えた……その時だった。



 何かが壁に激突したような鈍い音。それを視界に含んでしまい、悲鳴を上げる人々。
 そして、してやったりと言わんばかりにエンジン音をあげ去っていく大型車。



 ……その事実に気づいたのは、()()が私達の背後を掠めた後だった。

 声が出ない。足が動かない。体の震えが止まらない。
 ……一体誰なのよ。「死と向かい合ったとき、意外と人は冷静になる」とか言ったやつは。だったら、今の私のこれはどうやって説明するのよ!?

「沙耶姉!」

 蓮の声で私は我に返った。

「とりあえず、歩道に戻ろう」
「え、ええ。わかったわ……」
「ゆみなも行くよ。……ゆみな?」

 蓮がゆみなを心配そうに見下ろす。当の本人は今ので腰が抜けたのか、その場にへたり込んでしまっていた。

「か、風見君……あれ………!」

 そう言われて指の示した方角に顔を向ける。その先には、黒くて長い髪の女の子が右腕から血を流して倒れてい……え?


「………っ、右腕が……」


 ……ちょっと待て。

「「「……」」」

 あんた、今轢かれたよね? 思いっきり轢かれてたよね!?
 しかし、何事もなかったかのように、少女は横断歩道をわたっていってしまった。

「……2人とも、部室に戻らない?」
「……賛成」
「了解です……」

 惜しいけど、大会は諦めましょう。
 ……てか、精神的に、無理。

「……あの2人にメールしとこ」

 向こうには2人が既にいるはずだ。大会はあの2人に頑張ってもらおう……。

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