第十七話 旅立ちその十
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「私にとって当然のことをするだけだから」
「それでなんだ」
「そう、いいのよ」
優しく微笑んでの言葉だった、優子が今出したものは。
「それでね」
「俺もそうしていいか?」
龍馬もだ、優花に後ろから問うた。
「最後の最後まで見送ってな」
「龍馬もなんだ」
「実は俺もな」
「最初からなんだ」
「それが出来たらな」
駅のホームに入ることが出来ればというのだ。
「そうするつもりだったからな」
「それでなんだ」
「ああ、じゃあいいよな」
「ここで有り難うっていうのな」
「いいからな」
微笑んだ声での返事だった、バックミラーで龍馬の顔が見えたが顔も同じだった。
「俺も」
「そうなんだね」
「ああ、だからな」
「それでだね」
「俺も優子さんと一緒にな」
二人で、というのだ。
「最後の最後まで見送らせてもらうな」
「それじゃあね」
「もうすぐよ」
優子は道と街並みを見て言った。
「駅はね」
「そうだね、確かね」
「じゃあ近くの駐車場に停めて」
「それでだね」
「行きましょう」
その駅にというのだ。
「これからね」
「そうしようね」
優花は泣きそうな顔から微笑んで返した、そしてだった。
優子は近くの駐車場で停めてだった、優花と龍馬を駅に連れて行った。新幹線の機能的だがそれ故に独特の趣と美しささえある駅に入り。
ホームまで来てだ、九州まで行く新幹線を前にしてだった。
優花は笑顔でだ、姉と親友に行った。
「行って来るね」
「ええ、じゃあね」
「あっちでも元気でな」
二人も笑顔で返した。
「いつも連絡するから」
「時々でも行くからな」
「頑張ってきてね」
「何かあったらすぐに行くな」
「うん、長崎で待ってるよ」
優花も笑顔で応えた。
「連絡もね」
「ああ、わかってるさ」
龍馬はその優花に笑顔のままで言葉を返した。
「だからな」
「笑顔でね」
今度は優子が言った。
「今は別れましょう」
「笑顔でお別れだね」
「人は別れる時の顔を覚えるものだから」
それでというのだ。
「だからね」
「笑顔だね」
「お互いそれで別れましょう、それにね」
優子はさらに言った。
「これは貴方の新たな旅出だから」
「それでだね」
「悲しむものじゃないから」
それ故にというのだ。
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