第八幕その六
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「宮殿に帰るとするか」
「いえ、どうもね」
ここでこう言ったのはオズマでした。
「降りて少ししたらお茶の時間よ」
「三時か」
「だからお茶を飲みましょう」
つまり午後のティータイムを楽しもうというのです。
「そうしましょう」
「わかった、それではな」
「ええ、セットも出すわ」
ティーセットもというのです。
「お茶と一緒にね」
「それも楽しみじゃな」
「そうね、じゃあ降りましょう」
「もうお菓子もね」
ボタンはクラッカーを食べています、ですが。
「ないしね」
「全部食べたんだ」
「うん」
カルロスの少し驚いた言葉に穏やかに答えたのでした。
「そうだよ」
「凄いね」
「美味しかったから」
だからというのです。
「全部食べちゃったよ」
「いや、美味しくてもね」
「全部食べたことは」
「凄いよ」
そのこと自体がとです、カルロスはボタンに言いました。
「よく食べたね」
「しかも十時もお昼もかなり食べてるから」
ジュリアも言います。
「相当なものよ」
「どれも美味しかったから」
「それだけ食べたら」
それこそとも言うジュリアでした。
「眠くなるわよ、後で」
「太らなくても?」
「ええ、そうなるわよ」
「太ると大変だよ」
ジョージが言ってきました。
「それだけで動きにくくなるからね」
「食べ過ぎるとね」
神宝もボタンに言います。
「外の世界じゃ太るんだよね」
「それで身体にも困ったことが起きたりするから」
恵梨香はこのことを心配しています。
「太り過ぎはよくないのよね」
「寒い時はそれでもいいけれど」
ナターシャはある程度寛容みたいです、太ることについて。
「あまりだとやっぱりよくないみたいね」
「太ってると寒くないともいうけれど」
カルロスは少し首を捻ってです、ボタンに言うのでした。そうしたお話をしながらピラミッドの階段を皆で一段ずつ降りています。
「それでも太り過ぎは本当によくないね」
「王様位がいいのかしら」
つぎはぎ娘は軽やかに歩きつつ王様を見ています。
「太っているにしても」
「わし位か」
「ええ、それ位がね」
「ふむ、わしは確かに太っておるのう」
自分でも言う王様でした。
「しかしオズの国じゃからこれ以上は太らんしな」
「動きにくい?」
「快適じゃ」
王様は木挽の馬にも言いました。
「充分動けておる」
「そうだよね」
「これ以上痩せることもないが」
しかし、と言うのでした。
「充分じゃ」
「体型がそのままっていいことですよ」
カルロスはしみじみとした口調で王様にお話しました。
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