第61話心の矢印が
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
亜利沙side
3月14日、空港
「とうとう行っちまうのか・・・」
「寂しくなんで・・・」
「また帰ってくるからそんな顔しないで?」
私は今オリンピック出場の夢を叶える第一歩、アメリカ留学に向かうために空港にいる。今日この日のために、私を見送るためにみんなが集まってくれた。翼に弾、かんなに里香さん、桂子ちゃん、和人くんも来てくれた。それにまだ回復しきってないのに、車椅子に座って未来ちゃんや明日奈さんも私のために来てくれた。パパ上は朝から泣き続けてたからお母さんがあやしているため、ここには来ていない。でもお母さんが『ドーンといきなさい!!』って言ってくれたから、それだけで十分。あとはーーー
「それにしても、竜さんが風邪だなんて・・・」
「仕方ないよ・・・」
そう、桂子ちゃんの言う通り、竜くんは風邪をひいてしまって今日ここには来ていない。何でも昨日、ドーピングの効果を消すために龍星さんに治療して貰っていたら急激に体調を崩してしまったらしい。その治療法が《ナーヴギア》と同じような信号素子のマイクロウェーブを竜くんの左腕に投与した新薬の成分に当てて、ドーピングの副作用だけを焼き消したらしい。でも信号素子のマイクロウェーブはとても熱いので左腕に集中すると腕その物を焼いてしまうから、上半身を裸の状態でそれを浴びた結果、その夜発汗作用のせいで寝汗が酷くて風邪をひいてしまったという話を聞いた。最後に顔だけは見たかったけど、残念だなーーー
「亜利沙さぁ〜ん!!せっかくまた会えたのにぃ〜!!寂しい〜!!」
「あぁ〜よしよし、泣かないで〜」
車椅子に座りながら抱きついてくる未来ちゃんの頭を撫でながらあやす。未来ちゃんや竜くんはあの夜以来、私たちが死んだと思っていた。時期や形が違えどみんな現実に帰還出来たのにまた離ればなれは悲しいし寂しいけどーーー12月中旬には帰国するからあんまり泣かないでほしいな。
「そうだ、アリー」
「現実じゃ亜利沙ね、桐ヶ谷和人くん。どうしたの?」
仮想世界での名前で私を呼んだキリトくんーーー桐ヶ谷和人くんに注意して、和人くんは『そうだった』と言わんばかりの反応をする。その和人くんは背中に背負ったショルダーバッグから何かを取り出した。これはーーー小箱?
「ライリュウが・・・竜が『バレンタインのお返しなんだけど、オレ行けなくなったから代わりに渡してくれ』って預かったんだよ」
「そういえば今日ホワイトデーじゃない!へぇ〜、こんな美少女にバレンタインチョコ貰えたなんて、ライリュウも隅に置けませんなぁ〜♪」
「〜〜〜/////」
そうだーーーすっかり忘れてたけど、今日ホワイトデーだった。竜くんはそういう事に結構律儀な人だけど、何も自分が行けないから
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ