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もう一人の八神
新暦77年
memory:14 お礼
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願いなのですから多少の無茶でも聞き入れるつもりでしたから」

「うふふ、知ってますか? 少し前だったかしら…はやてから話、というより報告があったの」

「カリム、それは……」

「いい機会だしいいじゃない。それにユーリさんなら黙っててくれるわよ。ね、そうでしょ?」

いや、急にふられても……。
でも、まあ、

「よっぽどのことじゃなかったらですけどね」

シスターシャッハには珍しく「それもそうですね」とすぐに引き下がった。

「はやてから『やっと悠莉が私らにわがまま言ってくれたんよ』って聞いたのよ」

え……? それって一体……。

「前々から相談されてたのよ。姉としてどう弟と接すればいいかとか、こういう時にはどんなことをして上げればいいのかとか。はやてはあれで不安だったのよ」

「姉さんが……」

全然気付かなかった。
いつも笑っているからそんなことを言ってたなんて思ってもなかった。

「わがままを言わない悠莉が悪いというわけではありませんよ。ただもっと頼ったり、意見をぶつけ合ったりしてほしいのです。家族として、友人として、仲間として」

「そう思っているのはあの子だけじゃないはず。あなたのお友達やなのはさんたちもきっと、ね。もちろん私たちもそうですよ」

「シスターシャッハ…騎士カリム……ありがとうございます」

さっきまでお礼を言われてたのに今は言う方なんて、ちょっと変な感じだ。

騎士カリムとシスターシャッハも同じように思ったのか頬を緩めている。

「さて、みなさんの行きましょうか」

「そうですね。そろそろ準備も終えている頃でしょうから。さあ悠莉、私たちについてきてください」

「はい」

シャンテたちが準備しているというお茶会の会場へと向かった。



二人に案内されて中庭に足を運ぶと数人のシスターが準備をやっていた。
とは言っても全員に見覚えがある人たちだけど。

「おっ、ユーリ久しぶり!」

「うん、久しぶり。相変わらずだなセイン。オットーとディードも久しぶり」

「はい、お久しぶりです、ユーリ」

「元気そうで何よりです」

セイン、オットー、ディードの三人と挨拶を交わして用意された席に着いた。
騎士カリムたちも席に着くと目の前にティーカップが置かれた。

「ほいっ、冷めないうちにどーぞ」

「ありがと、シャンテ」

カップに口をつけようとするとシャンテから変な視線を感じた。
頭を捻りながらも紅茶を飲む。

「……ん? シャンテ、もしかしてこの紅茶ってシャンテが淹れた?」

「うぐっ!? ……いきなりすぎるよ。とゆーか、何でわかったのさ」

「ここに来たときにもらってるやつと香りや味が違ってるからね。
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