新暦77年
memory:13 廃墟の街にて
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けない」と呟いた。
「オイ」
リーダー格が合図をすると後ろからゆっくりと近づいてくる気配がした。
「お兄ちゃん危ないっ!」
女の子は叫びながら、そのままだと起きてしまう最悪の事態に恐怖し、目を力いっぱい閉じた。
周りのチンピラたちもニヤニヤとしながら事の行く末を眺めた。
振り上げられた鉄パイプが頭めがけて振り落とされ、鈍い音とともに血が流れると誰もがそう思っただろう。
しかし、いくら経ってもその音は聞こえない。
「……は?」
そんな間抜けな声がどこからか聞こえた。
女の子は疑問に思いながらゆっくりと目を開けると、
「……そっちから手を上げて来たんだ、それなりの覚悟はあるんだよね」
後ろを振り返らずに振り下ろされた鉄パイプを握る悠莉がいた。
「おい、そこのリーダー格、しっかり受け取れよ? ―――フッ!」
掴んだ鉄パイプを振り下ろして下っ端Bをリーダー格に投げ捨てた。
「……これが最後だ。今のうちなら跪いて謝れば命だけは助けてやるぞ」
青筋を浮かべ低い声で脅すリーダー格。
「金・暴力・快楽殺人大好物なお前たちはそんな気さらさらないくせに何言ってんだ。それに謝るのはお前たちの方、先に手を出したのはそっちだろ? 土下座で誤れば許してあげるかもよ?」
「クソガキがぁ! やれ!」
下っ端AとCが襲い掛かってくる。
「遅いよ」
下っ端Bから奪った鉄パイプでド突く。
「テ、テメェ……!」
「何を怒っている。自分たちも同じようなことをやって来ているんだろ? 嬢ちゃん、ちょっとあいつ等で遊んでくるからじっとしててね。この魔方陣の中にいれば安全だから」
「は、はい!」
「なめやがって……早くあのクソガキどもを始末しろ!!」
あーあ、とうとうナイフにまで手を伸ばしたか。
どちらかって言うと鉄パイプの方がリーチがある分いいとは思うんだけど…関係ないか。
それにしても連携がなってないから楽だな。
「……哈ッ」
襲い掛かってくる一人一人を軽く壊す程度に鉄パイプで打ち抜く。
胴を払い、腕を打ち上げる。
小手を打ち、みぞを突く。
「うーん、面倒だから五人以上にまとまてかかってきなよ、そっちの方が個人的には楽だからさ」
「クソが!」
リーダー格を除く全員が襲い掛かってきた。
鉄パイプを持つ下っ端の群Dの脇を続けざまにすり抜けて背中に一閃。
直後、地面を蹴る音と「死ね!」などと声が聞こえ横に体をずらしてナイフを避け、腹部を払う。
足元に転がる鉄パイプを蹴り上げて少し離れたところの下っ端の群Eにすべて投擲する。
一瞬にして半分以上が地面で呻き声をあげ、気を失っている。
「今度はこっちからいくよ」
下っ端
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