第四話「王国の陥落」
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のない怒りはどうすればよい」
「それにたいして、私の返答はこうだ。怒りを乗り越えて、我が身を正せ」
「優等生の回答だな。いいか、本当の苦しみに身を焼かれた我のこの感情は理性で推し量れるものではない。無限に等しい時の中を封印の鎖に繋がれて苦しみもがいて生きた時間は我の心も体も指の先から毛の一本まで、この仕打ちを許すなといっている。そして報復を我が身を蝕ばんだ封印の代償は全ての者の蹂躙だ!恨み事はこの世を作った八人の王たちにいうがいい。見よ、この翡翠の国に燃え上がった復讐の炎をあのアルネルネの川に戦士たちの死体が浮かび、ミスリルの鉱脈は、穢れた鉄の炎でその輝きを失った。そして女王は倒れ、人間の中で一番偉大なこの国の王ウェストルもいまや私の力に屈服した。さあ、三千年前の裏切りの復讐劇を始めようぞ!」
魔法使いのローブが翻り、地面を蹴ると数段高い所へ身を浮かせる。
爆炎が、ぜんぜん予期しないところから放たれた。
しかしそれもそれさえも魔法使いには通じない。放たれた爆炎がその使い手のアルセイユへ跳ね返される。
「うわああ!」
避けることもできず恐ろしさに身をすくめその場に座り込むアルセイユ。しかし爆炎は彼を襲わなかった。
ミスリルの鎧、身に付けし王の中の王アル・ウェストルがそれをかばったからだ。
「父さん!大丈夫?」
「ばか者、相手は魔法使いなのだ。魔法の使い方もなにもまだ分かっておらん、おまえが挑んで勝てる相手ではない。アルセイユ、私の頼みごとを聞いてくれるか」ウェストルは声を細めてアルセイユに話しかけた。
「う、うん」
「私と母さんは、こいつを倒すために今から全力をだす、おまえがここにいては我らは力を存分に使えない。この塔の隠し扉は知ってるな?あの不自然に破壊されてない書棚のある本を手前に引けそこから、城の投石穴のライオンの金の止め具を時計回りに回すんだすると投石穴は地下の抜け道に通じるようになる。すでに教育係のサイモンと女だが剣士としては十分の腕のアルテルテが控えている。そして東の迷いの森に行け、神官長のバラムが国民とともに待っている」
「父さん、でも」
「いいか、民を先導するのは、王子であるお前だぞ、わたしがここにやってきたのはお前という人物を殺させないためなのだわかってくれ」
「父さん、父さん!!」
そのとき、肩を引き止めた手が優しくその柔らな胸に抱きとめた。
「か、母さん」
「ごめんね、アルセイユでも私もあの人もこの国の主、逃げるわけにはいかないの、あなたはこの国の未来だから、だからあなただけは逃げて!」
「そんな、それじゃまるで!」
「アルセイユ!みなまで言うことは許さん、おまえをそんな腑抜けに育てた覚えはないぞ」
「くくく、王子か、残念だが逃がしはしない。翡翠の国はやはり我にとって脅威、ならばその血は
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