第四話「王国の陥落」
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トル王が剣を構える、剣を円の軌道に滑らせるとまるで剣は分身したように刃を連ねて炎をたぎらせる。こんな遠くにいるアルセイユですら、熱くて苦しい。山を三度焼く炎。炎は意志を持って躍り出てその舌を突き出す。その炎で周りが溶解していく。温度は上がり続け今度は気化し始めた。
そして上段から目にも止まらない斬撃。
それを受け流すフォルノウス。しかし、よけきらず、頬を焼く。
「終わった、その炎は消えない、一生おまえの内で燃え続け、そして最後には生命を奪う」
「そんなことは知っておる、消えない炎の傷の治し方を知っておるか。呪いの類はその組織ごと、腐らせて落としてしまえばいいのさ」
「なっ!そんなことをすればおまえの顔にはひどい呪いが!」
フォルノウスの顔が腐って落ちた、そしてまた新しい顔が出てきた。
「おのれ、奇怪な術を!」
「おまえさんは起死回生の一撃を外した、もうわしに勝ち目はない」
「う、ぐ。なんだ体が重い?」
「見事だよ、ウェストル王。たいしたものだ。人間でそこまで技を極めているとは、だけどわたしは人間なんて弱い種族の出じゃないし、なにより生きてる時間が違いすぎる。そこの竜の女王はなかなかだった。ああ、あなたももちろんそうだが、しかしね。わたしの敵じゃないんだな。なんだか昔を思い出して懐かしくてね。そういや私も若いころはそうやってひたむきに技を磨いていたよ。けど八人の王のお守り役になってからはわたしはだんだん人間というものの馬鹿さ加減に、いい加減うんざりしていたんだよ」
「それが……八人の王が、貴様を封印した理由という訳だ?」
「ああ。あああ!あの馬鹿どもこれまで何度国を立て直してやったことかその恩も忘れてわたしがそのとき推し進めていたある種族に伝わる儀式を我が力のために利用しようとしただけで我を封印しやがった。我の魂の封印の権利は我があいつらの国司にされたときに渡してやったというのに」
「おまえ、それは……」
「ああ、そうさ、お前らは私が善のために動いていた人間じゃない。根っからの悪人と思って戦ってきたんだろう。しかし我にだってまともなときがあった。長かった。奴等に封印されて三千年。三千年ものあいだに我が自分を歪めるくらいたやすいことはなかったさ。我は苦しさのあまりその三千年間ずっと孤独に魔力を練り続けた。そして自力でその呪縛をぶち破ったのだ。そしてあとの二千年間、北の国ニム・イールを影から支配して自分のものにした。そして我が復讐の地、この翡翠の国をずたずたにしてやろうと思ったのだ。ウェストル王よ、汝を王として問う、力を持つものを恐れるあまりそれを拒絶するのは恐怖からか?正義からか?」
「残念ながら、正義とはいえないだろう。力があるからといって正しくないことをしないと決まったことはないのだから」
「では、私のこの行き場
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