第四話「王国の陥落」
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ては、今日のような日のための特訓だったのだ。そしてお前を親身になって育てた者たちのことを!」
「僕を育てた人たち……。……エレンさん!」
アルセイユはおぼつかない手をかざして語学の授業でならった神聖文字を唱え始めた。思考は感覚のもっとも深いところにおいておのずから全てが動き出すように火を体に呼吸によって送り込む。
「治す。呪いを解く。治す。呪いを解く。」
自分に言い聞かせるように言葉と心をその一つに集中させる、すると体と心が一致し精神がおのずからその血の記憶に潜む力を引き出した!
エレスティアは、徐々に血の気の引いた顔から赤みのある人間らしい顔になっていく力を吸い取っていた鉄球はだんだんだが枯れて砂に変わっていく。
「まさか!あの年にして我が法を破るというのか!翡翠の国の王よ、どんな修行をあの子供にした?」
「ふふ、あいつは自慢の息子でね。少しまだ幼いところはあるが王宮の誰もがあいつの立派さには承服しているのさ。貴様の誤算はその国のものを殺したことだ。この国であいつのことを本当の王子だと認めていない者はない。この国の民はおまえの国のように権力で脅されて国に服従しているわけではない」
「ふっだが、見ろ、町は戦火によって壊滅状態、この城ももう落としたも同然だ」
「悪いな、この国を炎で包んだ時、炎に巻かれて出てきた民が一人でもいたかな、兵士以外の民草を一人でも殺せたか?」
「な、何を言ってる?どういうことだ」
「国力、軍の力は確かに圧倒的だった。私がここにくるまでにもはや国は手遅れの状態だったがな、一つだけおまえの国より優れていることがある。伝書鳩、伝え火、伝令係、この国は、いついかなるときも民を逃がすためにあらゆる通信手段がある。お前の兵隊によって死んだ我が国民はゼロなのだよ!」
「翡翠の国は、国は滅びてもなお死せずか、古き予言とはこれのことか」
「さあどうだかな、今、あらたに予言しよう。翡翠の国は必ずまた古き盟約のままに復活する。古き王たちはこの五千年の時の中で必ず乱を起こす者が出てくるのを予測したのだ」
「ふ、くくく、ふはははは!」
「なにがおかしい?」
「古き盟約だと?私を封印したいまいましい八人の王たちのあんな戯言をこんな月日を経て、耳にするとはな。しかしウェストル王よ、おまえの言葉には驚嘆した。たしかにこの国に進軍して出会った人間は全て武装した兵だった。民を守るための陽動。見事だよ。しかしこのご時世、国を持たない民は苦しい思いをするぞ?奴隷にされ、娼婦にされ、日雇いの低賃金の労働。あげくの果てには住むべき土地もない難民だ。それはどうするつもりだ」
「私がここにきたのはおまえにある人物を殺させないため。私はお前と刺し違えてもその人物だけは守る、さあ、行くぞ、我が剣は紅い紅蓮の炎を纏う。名づけて紅魔剣!」
ウェス
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