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SS 『サブパイロットか、強化パーツか』
SS 『サブパイロットか、強化パーツか』
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[9] 最初
で。
『クロウ・ブルースト…!!』
「…何てこった…」
『行きなさい! マリス・クラッド!』
 その直後、空中でありながら全機がマリス・クラッドの直撃を浴びる事になった。紅水晶の柱がアリエティスから次々と水平に放たれ、機体の至る所を直撃する。
『出直しますよ、マルグリット・ピステール』
『はい』
 それで少しは気が晴れたのか、女騎士を従えアイムは帰って行った。
 しかし、ヴァーチェを除く4機の外装はボロボロである。
 トレミーに帰還し、ブラスタのコクピットから下りた直後、何も言わずに迎えてくれたロックオンへ、クロウはブラスタ色のハロを投げて返す。
「おやじさんに、ブラスタを元に戻すよう頼んでおいてくれ。俺はやっぱり、一人で機体を操る方に向いてる」
「ハロはどうする?」
「また何かの機会に別の方法で使うさ。強化パーツとしては悪くないからな」
「なら持っとけよ」と、ロックオンがハロを再び投げてくる。
「随分と俺に持たせたがるんだな。ソレスタルビーイングの意向か?」
「ああ」ロックオンが頷いた。「そいつは、俺達からお前へのバースデー・プレゼントだからな」
「これが!?」
 左手で抱え、またも音がする程強く掌で叩く。
「だから、部屋に置いといてくれ。使わない時でもな」
「あ、ああ…」
 最初からそう言ってくれれば。クロウはそう思いつつも、敢えて口には出さなかった。もし長い付き合いになるとわかっていれば、今日いきなり実戦で試してみようなどとは思わなかったかも、かもしれないのだから。
 以来、トレミーに宛がわれたクロウの部屋にはハロが転がっている。そしてクロウも、強化パーツとしての機能を当て込みハロを使うようにはなった。
 しかし、失敗したままというのは実に後味が悪いものだ。いつか、ロックオンが勧めるように狙撃の際に回避を任せられるような、そんな使い方をしハロとのコンビでクラッチ・スナイパーを当ててみたい。最近クロウは、そんな小さな欲望を秘めている。
 クロウの心中を知るのは、今のところ丸くて叩くといい音がする点目のサポート・ロボットだけだ。


                             − 了 −

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