SS 『サブパイロットか、強化パーツか』
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、遠距離からクラッチ・スナイパーを1回試すくらい問題はなかろうとの考えに傾いてゆく。
ハロの小さな点目が、クロウを見ていた。今、攻撃と回避のコントロールは両方共クロウが握っている。
ハロが暇そうだ。明らかに暇そうな目をしている。
要するに、試してみたくなっている自分がいるという事だ。
「ロックオンができるんだよな。一応俺にだって…」
その妙な対抗心が間違いの始まりだったと、後々にクロウは後悔する事になる。
「よし。この距離なら、こいつの出番だ!」と言うなり、イーグルを長距離射撃モードへと変更する。「ハロ。俺は狙撃に集中するから、回避は任せたぞ。上手い事やってくれ」
「了解、クロウ。了解、クロウ」
敵機のどちらを狙うかは、考えるまでもなかった。狙撃の精度を上げられるというのなら、相手はやたら機体の操作に長け回避も巧みなあの嘘つきの方しかない。
「見ていろ、アイムめ」
FCSのリンクを確認。なるほど、狙撃の事だけを考えていられるとなると、視野からパールネイルを除外する事ができる。
しかし、アイムの言葉で状況は変わった。
『マルグリット・ピステール、私を守りなさい』
当然ブラスタに気づいているアイムも、無策で受けたりはしない。
パールネイルの速力が上がり、キュリオスとエクシアを掠めてブラスタの照準に入る。
「やばっ!」
反射的に狙撃の操作を中断しクロウが回避に移ろうとした矢先、ブラスタがイーグルを構えたまま弧を描くように左に動いた。
照準には再びアリエティスのみが入る。それが、ハロの役割なのだ。
しかし、パールネイルとの距離は縮まる一方だった。最早狙撃どころではない。
『それで、私の刃から逃れられると思っているのか!?』
パールネイルから、伸縮自在を誇る一対の回転刃が繰り出される。まず右から、次手は左から。
スタンドで演算を繰り返すハロが、初手を凌いだ。
だが次の瞬間、ブラスタに衝撃が発生する。2回目に突き出されたヴァルキュリア・スピナーが機体の右足を掠めたのだ。
ブラスタが損傷の具合を知らせる。幸い千切れてはいないが、地上戦に移行し機体の自重とクラッチ・スナイパーの反動を押しつけるのは無理なようだ。
「クロウ、ゴメン。クロウ、ゴメン」
謝るハロに、「相手があの女騎士なら、仕方がないさ」と慰めの言葉をかけてやる。「狙撃は中止だ。ハロ、コントロールは俺がもらうぞ」
「了解、クロウ。了解、クロウ」
これでいつものブラスタに戻ったと思ったのだが、まだ甘かった。
「クロウ、敵機接近、敵機接近」
機体を完全に取り戻した途端、今度はコクピットでハロが警告を喚き始める。
「いや、それはわかってるか…!」
クロウが言い終わらないうちに、パールネイルが蹴りつけてきた。
斬りつけ
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