SS 『サブパイロットか、強化パーツか』
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わんばかりの様子に、少しだけ嫌な予感が増した。
「詳しい事を説明してやれ」
イアンがロックオンにその場を譲り、ロックオンが抱えている自分のハロを右手で軽く叩く。
「お前も知っての通り、こいつは回避役に使えるんだ。俺もお前も、長距離射撃は手数の一つにしている。もしお前がクラッチ・スナイパーで狙撃に入るなら、その間の回避はハロに任せな」
「って言っても、いきなり本番ってのはちょっときついぜ」
クロウは、左手で抱えているハロを音が立つ程派手に右の掌で叩く。
「幸か不幸か、敵はまたパールネイルとアリエティスだ。トレミーの尻を追いかけ回しに来たようだぜ。何とかするっきゃないだろ」
「何とか、ね…」
その面子ならば、狙いは十中八九自分という事になる。不慣れなコクピットだからと出撃を辞退する訳にもいかなそうだ。
「わかった、出る」
「がんばれよ」
ロックオンがくるりと背を向け、自分の機体へと走ってゆく。イアンも退く中、クロウはハロを抱えたままブラスタのコクピットに入った。
内部のレイアウトはほとんど変わっていない。唯一、右手にハロを接続する為の丸いスタンドが据え付けられている部分を除き。
「何かピンと来ないんだよなぁ、コクピットに2人っていうのは」ぶつぶつと文句を言いながら、クロウはハロをスタンドに据え付けた。「よろしくな、ハロ」
「ヨロシク、クロウ。ヨロシク、クロウ」
「移動力と武器の射程が伸びて、運動性と照準値が大幅アップ。一見、いい事づくめに見えるんだがな。それはあくまで強化パーツとして使う時の話だし」
問題は、そう、クロウとハロの呼吸にある。一つ間違えれば、この高スペックの恩恵も、全てが台無しだ。
『ブラスタ、いつでも発進できます』
ブリッジからの声に、「クロウ・ブルースト、ブラスタ、発進する!」と告げ、自身の手で射出のタイミングを計る。
加速のGを真正面から受け、解放された時は既にトレミーの前方数百メートル先を飛行している。
敵機は、6時の方向に2機。なるほど、パールネイルとアリエティスだ。
機体を翻し、一旦トレミーから離れる。
追跡者の進路が、微妙に変化を始めた。やはりブラスタ狙いのようだ。
周囲の味方は、ガンダムエクシア、キュリオス、ヴァーチェ、そしてデュナメスという4機だけと久し振りに機体数が少ない。ソレスタルビーイングの正規メンバーと見習いだけで王留美と接触した帰り、この襲撃に遭った。アイムの神出鬼没ぶりに、改めて腹が立ってくる。
飛行形態のキュリオスが、敵機の2機を引き離しにかかる。
その間、クロウの視線が自然とハロに落ちた。
「クラッチ・スナイパーの時ね…」
使い心地に興味がない、訳ではない。ロックオンは毎回ハロを使いこなしているし、これだけガンダムが出撃しているなら
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