暁 〜小説投稿サイト〜
SS 『サブパイロットか、強化パーツか』
SS 『サブパイロットか、強化パーツか』
[1/5]

前書き [1] 最後
 数日前から、イアンがブラスタのコクピットに手を入れている。太平洋上の孤島でブラスタがパールネイルから大ダメージを食らった後だけに、クロウの生還を願いソレスタルビーイングの総意として若干の仕様変更をしたいのだという。「悪いようにはしない」との言葉を信じているので、クロウも何にどのような変更を施しているのかまでは問いつめていなかった。ソレスタルビーイング見習いに対する扱いの向上と思えば、野暮な詮索はしたくないというものだ。
 それは、取りも直さずクロウの財布に対する思いやりでもある。4枚の刃を持つブルーム・イン・ヘヴンに機体を引き裂かれ垣間見えてきた死にクロウが惹かれかけた時、アポロがブラスタへと注ぎ込んだ生命の力。その礼としてクロウがアクエリオンのパイロットに提供した食事の代金は、ものの見事に財布の中身を空にした。
 ZEXISが食事を支給しているといっても、あくまで毎食1人1人前に限った話だ。主食のお代わりは自由なのだが、おかずのお代わりからは容赦なく代金を取るようにしている。クロウは、その洗礼を浴びた。
 今後もインペリウムがクロウへの執着を示すのであれば、アクエリオンの世話にならないとも限らない。借金持ちの身で派手な御馳走っぷり、当然食費だけでクロウの借金はまた増える事にもなりそうだ。ブラスタの改造は、その様子の一部始終を見ていたロックオン達の気配りから始まっている。
 仲間の財布に優しい奴も、いい奴だ。改造の代金は取らないというのだから、この思いやりもまた嬉しい。
 コクピットから出てきたイアンが「終わったぞ」と言いつつ、拳の中から突き出した親指でブラスタを指す。
「ありがとうな。それで、どこが変わったんだ」
 クロウがさっそく中を覗き込もうとすると、トレミー内で警報が鳴った。
「敵さんのお出ましか!?」
 物見遊山から一転、出撃の為にクロウは真顔でコクピットに入ろうとする。
 そのクロウに、突然丸い物が投げつけられた。
「そいつを持って行け」
 反射的に左手だけで受け取ろうとするが、バレーボール大のサイズをしたそれは、クロウの腕をすり抜けかけた。慌てて両手を使い、支え持つ。
 投げてきたのは、ロックオンだ。
「へ?」
 ロックオンの左手には、オレンジ色をしたいつものハロがいる。
 しかし、クロウに渡された物も同じサイズのハロだった。しかも、色がブラスタ・カラーに塗られている。これは、クロウとブラスタの為に用意されたように見えなくもない。
 いや、そうにしか見えないのだが。
 多少嫌な予感を抱きつつ、クロウはロックオンのハロと自分が持たされているハロを見比べた。
「お…おい。これって、まさか…」
「当然、そのまさかさ」
 ロックオンとイアンがシンクロし、晴れやかな顔を揃ってクロウに向ける。さもいい事をしたと言
前書き [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ