新暦77年
memory:12 変化
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えをだす。
それがわかると今度はその有効範囲の紙一重を見極めて避ける。
これにはさすがに驚愕の表情のアルスター選手。
そして次第に焦りへと変わってきた。
それにしても、刺突の速さはこの世界で見たどれよりも速い。
それに加え、技量もあれば持久力もある。
相手の動きの先を読む力もある。
もしかしたら世界大会へ行けたかもしれない。
でもそれは叶わない。
だって運悪く対戦相手が私、なんだから。
時間を見ればもうすぐ三分が経過しようとしていた。
「……そろそろ動くか」
アルスター選手が大振りになった。
一瞬で懐に入り、まずは掌底でぶっ飛ばす。
「哈ッ!!」
飛ばした位置に先回りして、接地しておいたバインドへと向けて裏拳で打ち込む。
反応したバインドが肢体をロックし、完全に動きを封じた。
「なぁっ!?」
「確かにあなたは強かった。だけど相手が悪かったね」
右腕を掲げ、魔方陣を展開する。
次第に大気中に霧散する魔力をかき集めながら水色の魔力が集束していく。
「集束、砲撃……ッ!?」
「何を驚く必要がある。予選の試合を見てたならわかるだろ、あの剣だって集束魔法の応用だ。ならば特段これができてもおかしくないだろ?」
とはいっても、試作の段階のものだけどな。
原型はできているとはいえ、まだまだ自分用に昇華できていないから未完成のもの。
やっぱりもっとミッドの術式や効率のいい魔力運用を勉強する必要があるな、感覚だけじゃどうしようもないことが多い。
「終いだ」
水色の砲撃がアルスター選手を容赦なく呑み込んだ。
試合終了と同時に会場中に歓声が鳴り響いた。
最後が派手な終わり方だったためか、それとも本戦であるからなのか、今まで聞いた以上の大きなものだった。
そんな歓声を背にステージを後にした。
―――1R 3分44秒 KO勝利。FB、オメガコメット(収束砲撃)。
数日後、八神家ではとある鑑賞会が行われていた。
「……はぁ……」
目の前にはテレビを囲んでワイワイ騒いでいる道場のみんな。
みんなが何を見て騒いでいるかというと……。
「スゲェ……」
「こんなに速い突きのラッシュを全部避けきってる……」
まさかこんな形で自分自身の試合を見るなんてね……。
数日前から行われているIM大会の都市本戦の録画である。
しかも、今流れているのは本戦第一回戦第三試合、つまりは私自身の試合。
「悠兄ぃどうしたの?」
「具合でも悪いの?」
溜め息に反応してか、何故か膝の上に座るリオちゃんと隣に座るミウラが心配そうに声をかけてきた。
何でもないと伝えると首を傾げた。
「それにしてもさ、このユウ・リャナンシーっ
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