暁 〜小説投稿サイト〜
魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第9話『──ごめんな』
[7/7]
[8]
前話
[9]
前
最初
[1]
後書き
[2]
次話
くなっていく体温にすら気が行かず、ただ腕の中の少女をひたすらに抱き締めた。
ぎゅっと、ジークを抱く真っ白な手に込められた力も強まる。掻き抱くようにその手はジークの体をぎゅっと、しかし苦しくない程度に締め付け、少女の慟哭が耳に届く。そのつどまた罪悪感に苛まれ、再びボロボロと涙を零した。
人間
(
おれたち
)
は、決して許されない事をした。
確かに、魔族が人間に齎した悲劇は無数に存在するだろう。
こんなちっぽけな悲しみとは比べ物にならない、膨大な涙が流されたのだろう。
けれど、彼女は?
彼女が、何か悪事を働いたのか?
彼女が、人を殺したのか?
彼女が、人間に不幸を齎したのか?
断じて否だ。
けれど、彼女は今根拠のない罪を押し付けられて、悲しみに暮れている。
なんで、スィーラがこんな目に遭わなければならない。
なんで、スィーラがこれほどまで悲しまねばならない。
なんで、スィーラにこれほどの絶望が押し付けられねばならなかった。
こんな結末は間違っている。
彼女が。
人間に──。
−−彼女が人に何をした?
「──ごめんな。……ごめんな……ぁ、っ」
今はただ、この腕の中で哭く少女を抱きしめていたい。
それがせめてもの、罪滅ぼしになるのなら。
それが、せめて少女の悲しみを和らげられるのなら。
[8]
前話
[9]
前
最初
[1]
後書き
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ