第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#13
REDMAGICIAN’S QUESTIONS
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【1】
「御休みの処、失礼致します」
清冷なる若い男の声が、豪奢な装飾品で彩られた空間に響く。
「入れ」
その空間に相応しい風格に満ちた声が、それに応えた。
「失礼致します」
男は両開きの重いドアノブに手をかけ中に入る。
傍でアンティークの振り子時計が、微塵の狂いもなく時を刻んでいた。
「何用だ? ヴァニラ・アイス」
部屋の中心、艶めかしいシルクのシーツで覆われた
天蓋付きスーパーキングサイズ・ベッド。
その上で “邪悪の化身” DIOは、
素肌を惜しげもなく晒した半裸の姿で
ヴェネチアン・グラスに注がれた紅い液体を傾けていた。
天井から垂れ下がった北欧風のシャンデリアに照らされたその躯は、
まさに生きた芸術品とも言うべき絢爛たる永遠の姿。
手元には中世の教戒師によって書かれた訓戒録の原本が置かれている。
ヴァニラ・アイスと呼ばれたその男は、
足音を立てる事もなく静かにDIOの傍まで寄ると
主に対する絶対の忠誠の証しを示すために片膝をつき、頭を垂れた。
「ご報告致します、DIO様。
花京院 典明が空条 承太郎へ戦いを挑み、
敗れたそうです」
ヴァニラ・アイスはたった今入った情報を、
短く完潔に己が全存在を捧げた主に告げた。
その眼光は強靭な意志によって戦刃のように鋭く強暴に研ぎ澄まされ、
極限まで鍛え上げられ筋肉がダイヤモンドのように凝縮した躯は、
両腕部と大腿部が完全に露出したラヴァー・ウェアとジャケットで覆われている。
緩やかなウェーブを描く、背に掛かるアッシュブラウンの髪。
その開けた額に、ハートを象った銀製のサークレットが繋がれている。
剥き出しの右肩には、奇妙な形の“鏃”をモチーフにした刺青が刻まれていた。
「ほう? あの “花京院” がか。私の配下の『スタンド使い』の中でも
かなりの手練だったはずだが」
本から視線を逸らさず、DIOは蠱惑的な香りを放つ紅い液体を口に運ぶ。
「はい。私も耳を疑いました。花京院は、生まれついての “スタンド能力者”
故にその経験と技術は第一級のモノ、なにより「才能」がありました。
ソレが、ほんの数日前スタンド能力に目覚めたばかりの、
『スタンド使い』 とも呼べぬ小僧に敗れるとは」
「流石はジョースターの血統といった所か。一筋縄でいかない所は変わっていない」
ヴァニラ・アイスはそこで初めて顔を上げ、DIOを見た。
「DIO様。畏れながら申し上げます。
どうかこの私に、ジョースター共の討伐を御命じ下さい。
我がスタンドで、必ずやジョースター共に纏わる全てのモノを
根絶やしにして参りましょう」
ヴァニラ・アイスの進
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