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第四十二話 どうしてヴァンフリート4=2なのですか?
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てしまう」
「いいえ、それはないでしょう。何故ならわが艦隊は一番最後尾、つまり安全圏を進んでいるのですから。むしろ最後尾の位置を利用して退路を確保し、一部をもって敵艦隊の後方を扼す形をとることで、敵の攻勢を鈍らせることができるのではないでしょうか?」
参謀たちの不快さ満載の視線を受けても、穏やかに言うフィオーナの顔にはミジンコたりとも不快の色はない。もっとも内心ではと息を吐いていたが。
「しかし、それは命令にはないものだ」
「命令とおっしゃりますが、まだ戦略戦術会議が行われていない状況下、艦隊行動の制約はされていないはずではないでしょうか?」
「だからこそなのだ、フロイレイン・フィオーナ少佐」
参謀長が声を上げる。
「貴官はまだ戦場に出て日が浅いようだな。戦場であるからこそ、上層部の指令に従わなくては、指揮系統が乱れ、作戦計画に支障が出る。そしてその上層部の指令とは、本隊に後続すること、だ。本隊は我々が後続していると思い、それに従って作戦を立てているだろうからな」
「わかりました」
フィオーナが言うと、参謀長は「もう下がっていい」というように手を振った。フィオーナは敬礼すると、静かにその場を離れた。
艦橋を抜け、豪奢な廊下を折れ曲がったところで、ひとりでに吐息が出た。
「ほ〜っ・・・・・」
予測していたとはいえ、やはりグリンメルスハウゼン子爵艦隊の幕僚は老朽化している。もっとも「昼行燈提督」の下に好んでつくような参謀長はいない。帝国軍上層部は、閑職についていた鳴かず飛ばずの人たちを人数合わせのためにこの艦隊につけたに過ぎない。
原作と同じだ、とフィオーナは思った。日和見、事なかれ主義。そのためにこれからなん全何万という兵隊たちが死んでいくのを見るのは忍びないし、つらい。
「何をそのようにため息をついているのかな、フロイレイン・フィオーナ」
はっと振り向けば、一人の銀髪の男が立っている。
「リューネブルク准将」
フィオーナが敬礼すると、准将は答礼を返してきた。実のところ、フィオーナは准将と会うのは初めてではない。初めてどころではなく、着任した初日に准将に因縁を付けられ、後に引けない形で決闘をした結果、あっさりと准将を昏倒させてしまったのだ。それは悪かったと思っているが、当の准将はそれからまるでフィオーナに対する態度を変えてきた。原作同様斜に構え、皮肉交じりな言動は多いが、フィオーナに対して、因縁を付けるところはなくなった。むしろどことなく敬意をもってきているようだ。
「どうかしたのかな、いや、応えなくて結構。先ほどの会話を私も遮音力場の中できかせてもらった。中々に卓見だ」
「ですが・・・・」
卓見だからと言っても、それが用いられないのであれば何にも
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