両手の華〜小さいおじさんシリーズ10
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した。
「あぁ…帰りたい…」
「い、いやしかし…これはそこまでの含みはない…のではないか?」
「…殿方が一人きりの所へ女二人で参りますのは、大変心苦しうございます。紳士と名高い貴方様にいらして頂けないのは大変に残念なことでございます。この切ない心を紛らわす為に、毎日開かれる宴に是非、貴方の奥方様をお借りいたしたく存じます…」
羽扇の影から、くっくっく…と陰鬱な笑い声が漏れ聞こえた。
「―――なんと、見事な脅迫文でしょうなぁ」
え……?二喬って……え?
「同時に貴方、さりげなくディスられてますよ。連雀台の詩のこと、まだ根に持たれていますねぇ…」
「ぐぬぬ…」
自分たちをまとめて妾にしようとしていた陰獣と3人きりになど絶対にならないぞってことか。あの陰険白頭巾まで手札に使うとは、何ていうか…え?二喬、え?が止まらない。
「私の家内にまで内通して平和裏に私を無力化しようとか…こればかりは女性特有の恐ろしさですね…」
「そうさな、最強の召喚獣を剥ぎ取られては、今までのような好き放題は出来ないものなぁ」
「私がいつ何を、好き放題にいたしましたか」
こ、こいつ自覚ないのか!?冗談で云ってんのか!?
「だが最悪、嫁の召喚が不可能になってもアレだ、趙雲とかどうだ。あれも良き武者であろうが。常にバハムートを呼ぶ必要はあるまい」
お前もいい加減やめてやれ、召喚獣呼ばわり。
「あぁ。あれも、妻です」
―――は?
「趙雲殿は三国が興る前からの古い臣下。結構、お年を召しているのです。正直な話、北伐の頃には戦に駆り出すには少々…酷な年齢でございました」
―――さてさて、なんか色々キナ臭くなってまいりましたよ?
「しかし蜀の英雄、趙雲殿が戦場に立つかどうかで士気は格段に変わる…そうなると、趙雲殿を凌ぐ実力を持ち、かつ名誉欲を持たぬ『替え玉』が必要になりましょう。そこで私は」
「貴様!!女子を戦場へ駆り出したのか!?仮にも、曲がりなりにも、一応でも女子を!?こっこの人でなしが!!」
云っていることは正しいが、お前はお前で仮にもとか曲がりなりにもとか失礼極まりないからな?
「戦果は目覚ましいものがございましたがね。ご存知の通り」
「あー、もうな、駄目だ貴様。人として、男として」
本当それ、今日の豪勢すげぇ正しいわ。
「もう今日は帰れ。そして嫁を二喬のパーティー要員に呉れてやれ。戦に駆り出すよりも余程まともだ、たわけが」
「貴方は何も分かっておりませんね…」
白頭巾が何か言いかけた瞬間、薄く口を開けたまま凍りついた。
「―――来たな」
既に思考停止を始めた白頭巾に代わるように、豪勢が身構えた。
「皆さま、ご機嫌うるわしゅう」
大きくはないがその場を包み込むような、女の声が響いた。三ノ
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