第三話「成人の儀」
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すがやはりわたしは翡翠の国の次の千年を受け持つものとしてあのものは幼すぎると思うのです」
「マリオル、おまえも心の底ではもう納得しておるくせにやはり賢者としては厳しい物言いをせねばならないか」
「王様、戯れを」
アルセイユの胸中には寂しさと愛情がまるで木の年輪のように積み重なっていました。
それは並大抵ではありません。
それも一人で炭に最適の木を捜し、そして国中を探し回って良質の砂金やら砂鉄を探します。
ついにそれも終わり、様々な金属を微妙な比率で調合します。アルセイユはずっとイメージしていました。自分の中の龍の姿を。
そしてたたらに鉄を注ぎ込み、ふいごをふかしそして最後にミスリルを流し込みました。
たたらから翡翠のように輝く光が放たれてそしてそれが最高潮になったとき。
アルセイユは重いハンマーでたたらを壊しました。すると一塊の緑に輝く熱いたまはがねと呼ばれるものができたのです。
そしてこれを打ち延ばしていくつもの工程を得て完成するのです。
そして一か月後の朝はアスレイユは見事な昇り龍の彫り物がある素晴らしい暁の太刀を
鍛えだしたのです。
ついにアスレイユはミスリルを操れるようになったのです。
そばでそっと見ていたイズウェル王とその家臣は、驚嘆しました。
「あれはオリハルコン!」
「伝説の金属!」
王は居てもたってもいられなくなって息子のもとへ駆け寄りました。
「すごいぞ、よくぞ……ここまで!」
「夢中だったんだ、みんなの期待に応えたくて」
「ああ、ああ!よくやった。お前の剣だ、『アルセイユの剣』だよ!」
オリハルコンは、至高の金属である。この翡翠の国では古来よりその金属のことを調べてきた。
エレスティアが言うには、その金属はみな同じような特性を持つが、オリハルコンの、その種類は数千種類に
上る。
イズウェル王は、その目で鞘から引き抜いたアスレイユの剣を眺めた。形は麗美な流線形で刃には独特の波紋
が浮かび、刀身は黄金色になにか輝きを放っている。
「見事だ。立派な暁の太刀、うむ、昇り龍に翡翠の石の紋か」
「でもなんだか僕にはまだ使えこなせないような気がします」
「オリハルコンは、使用者の精神力によって力を引き出す。おまえはまだ若い。よいか、
感情をむき出しにしてとびかかればよいというものでもない。意志の強さだけでは絶対に越えられないものが精神なのだ。この刀の本来の力はお前が龍としても人としても大成したときに初めて引き出せる。最初から絶大な力を有するものは己を破滅に導く。力をつけることは大切だがもっと肝心なのは……」
「父さん、あ、いや父君、今はお説教は
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