第三話「成人の儀」
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丸メガネをかけた老人がとても好きだった。
しかし一方で一旦危機が訪れれば厳格な知恵者にもなる。そんな時には王であれ皇帝であれドラゴンであれ、彼の者の勇気を挫けるものはいないのだ。
そしてそう、アスレイユの元には明るくそして笑いのたえない働き者の召使やメイドがいつも彼の相手をしてくれるハッとするような黒い目に、艶のある黒い髪。しかし陽の光を浴びるとその黒い髪はキラキラと光るそんな絵に描いたような美少年のアルセイユ。
働き者で城下に夫や子供を持つ召使やメイドたちはこのかわいい美童を見るだけで抱きしめて頬ずりしたくなるほど愛おしく思っておりアルセイユもまた、気さくで明るい花のような彼女たちの笑い声に連れられていつも
彼女らと戯れている。アスレイユはそんな時、
彼女たちのいい匂いに母を思い出す。
この城が彼女たちの笑い声に楽しそうに働く活気で絶えない日はないのだ。
アスレイユは思った。改めて周りを見回した。誰もが厳しい顔をしているがそこには誰一人としてアスレイユのことを思わぬ者はいない。
だがこれはこの国の王子が独り立ちするための崇高な儀式なのだから、厳粛に皆あえて厳しい顔をしているのだ。
アスレイユは、そして父王に一歩歩み寄り、そして剣とミスリルを受け取った。彼はこの試練に必ずや打ち勝ってみせるだろう。
刀鍛冶は一朝一夕でできるものではなく
熟練の者でも至高の剣を作るには人生をすべて賭ける必要がある。
それもアスレイユの鍛えあげなければいけない剣はミスリルでこのなんの変哲もない剣を最高の剣に昇華させなければならない。
ミスリルはあふれるばかりの精神によってのみ、炎の中で溶けるそして金属に混じる。
そして鍛え上げれた刀がこの翡翠の国の世継ぎとなる記になる。そして晴れて成人したときアルセイユは王の位につき、「王の翡翠」とよばれる王家のみに受け継がれる伝説の秘宝を授かるのだ。
さて、アルセイユは三日三晩身を清め精神の統一に入る。
ここからは父イズウェル王が家臣であるマリオルという高名な賢者との対話からアルセイユの仕事を見よう。
「翡翠の国の王子は並大抵の者には勤まらないのにあのように若いいや幼いとさえ思えるものがまさかミスリル
を鍛えるというのですか」
「アルセイユはな、私の妻の血を引くものだ。
あいつは龍なのだよ。これでもかなりよい龍になった。あいつはみんなの温かい心を感じてそれで剣をとった。
あいつの心がミスリルに反映されればそれは剣ではなくなるかもしれん。優しすぎる。しかし弱いわけではない。
強くなった。わしにはあいつの成長がうれしい。この際、成人の儀などなんでもいいのだ」
「で
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