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ネフリティス・サガ
第二話「竜の少年」
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折ってアスレイユをその胸に抱いた。
するとまるで魔法のようにそれまで青ざめていた顔はすっと赤みがさしてまるで元気で活発な子供の安らかな寝顔になった。
「お前たちにも迷惑をかけた、いつも城中をその明るさで満たしてくれているおまえたちも龍の子供の育ち方はいささか心に苦しいだろう。私達は子供に愛を与えすぎるわけには行かぬのだ。それだけの力と責任とそして理由があるのだ。龍の子供にとって愛は濃密すぎる。それだけで育てば良い龍にはなれない。
自制心のある誇り高い龍になるには厳しさも必要なのだ。甘えて育った龍は欲深く堕落し
人々を脅かす」
 すると先ほど、辛言をした侍女は、泣きなが、こういった。
「そうとは気づかず恐れ入りました。私達は日々お城で元気に働きます。この国の土はよい魔力がこもってここで育ったものは食べれば元気がわきますし人一倍強くなります。ですからいつも笑いを絶やさす仕事ができます。しかし王子殿下はやはり何か私どもの子供のような気になるものですから……」
「お前たちの笑い声が一番の魔法なのだよ、
城下も下忍に聞く限りでは活気が耐えず自分が影に生きることを忘れるくらいだという。
しかしね、こういう一番平和なときが一番、恐ろしいのだ。それが嵐の前の静寂なのかもしれないから」
「エレスティア様はいつも北方を見ておりますがどうしてなのですか?」
「どうもこのごろ北方から良くない噂が絶えないのだ。戦船を造っているとか得体の知れない自力で動く機械を造っているとか」
「私はそれよりもアスレイユ様のことが心配です。いくら我らとは生まれが違うとはいえ王城で城の者ばかり相手にしていては」
「そうだな、そろそろ。城下の町の子供たちとも遊ばせるべきだな、いやアスレイユはこれまで自分のことばかり気にかけてくれるものばかり好んで付き合っていたようで少し人見知りが過ぎると思っていた。近頃になって
ようやくそれが治ってきた。良い機会だ。アスレイユの城の外への外出を許す。ふふふ、ホントは言われなくとも王城を抜け出すくらいの気概が欲しいのだがこの寝顔を見てはまだ幼すぎるのだなと私も反省している。だがまあなんといっても龍の子供だ。同じ子供のようにはいかぬ、あまり、早くに城下のものと接してもそれが良いことばかりではないからな」
それからというもの、アスレイユはとても積極的になった。久しぶりに母の胸で眠ったことが彼の十年分の元気になったのか城を抜け出していろんなところに冒険しにいくようになった。
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