第34話 救いたいって思うから......
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─────俺も好きだ、付き合ってくれ
こう言えればどれだけ楽だったことか。
既に餡蜜が無くなった空ケースの中をスプーンでいじりながら言葉を零す。
「穂乃果はわかるな、未遥ちゃんの気持ち」
穂乃果はあっさりと言い切った。その表情はファーストライブで絵里にスクールアイドルとしてやっていく意志を示した時のソレと同じだった。
「わかるって......どうして?」
「穂乃果にも.....あるから。”大切な人が傍からいなくなって悲しい思いをしたこと”が。穂乃果だけじゃない、海未ちゃんも...ことりちゃんも....」
「そう、か......」
「だから、だから大くんが離れていった時の未遥ちゃんの気持ちわかる。そして、今日久しぶりに会ってきっと持っていた感情が...大くんに対する気持ちが溢れちゃったんだと思う。」
穂乃果は椅子に座り直しご自慢のサイドポニーをぴょんぴょん揺らしながら言葉を紡ぐ。その姿が少しだけ大人びていて、俺と話している人は本当に穂乃果なのだろうか、と錯覚さえ覚えてしまう。
「好きだから、大くんの事をずっと傍で見ていたいから誰にも渡したくなくて。自分の事を見て欲しくて愛して欲しいから必死になって。でも見てくれなくて.....いつも自分以外の誰かを見ていて.....」
いつからだろうか....未遥の事を異性として意識し始めたのは。
ファーストフード店で未遥が好きだというアップルパイを一緒に食べた頃か。好きなアーティストが違うからその良さを教えようと口論となり、俺の家で各自のアーティストについて熱論した頃か。
お弁当のおかずを交換したからか。一緒に勉強したからか....
その節々に必ずと言っていい程あったのは未遥の笑顔と優しさ。
「穂乃果もやっぱり嫉妬しちゃうな。だってちゃんと好き好きアピールしてるのに見てくれなかったら寂しいし、異性として見てもらえてないって思っちゃうもん。きっと未遥ちゃんの行動の何処かにアピールはあったと思うよ?」
アピールはあった.......かもしれない。正直どれがどれだかわからないからな。
「.....多分な。」
「もう、ちゃんと見てあげなきゃダメなんだよ!...............これじゃあ穂乃果”達”何の為にアピールしてるかわかんなくなるよ」
最後の方がよく聞こえなかったけど、そういう心の呟きってのは基本聞かれたくない事だって最近学んだから何も聞かな
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