アインクラッド編
異世界の暗転
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の世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれたまえ」
アスカは力の入らない腕をなんとか動かして、ウインドウを呼び出し、操作、アイテム欄を確認すると、そこには見覚えのないアイテムが1つ。アイテム名は――〈手鏡〉。
周りのプレイヤー同様に〈手鏡〉をオブジェクト化、鏡の中をのぞき込むと、こちらの世界のアバターとしての自分の顔が写される。
突如アスカの体を青白い光が包み込む。
慌てて、周りを見渡すと、他のプレイヤーも青白い光に包まれていて、姿を確認できない。
網膜を焼くような眩しさに思わず目を瞑ること数秒、光が薄れてきて、目を開けて訝しむ。
アスカには何の変化も見受けられなかった。
「なにを―――」
したんだ?と続きを言おうとしていたアスカは周りを見て固まる。
全員の顔を確認していたわけではないが、明らかに全員の人相、身長が変化している。
派手に染め上げていた髪も、完璧な容姿の見る影もない。
そこで、アスカは理解する。
「現実の顔と背格好に戻したのか・・・・?」
顔をすっぽりと覆っているナーブギアと、体格を確認するために行ったギャリブレーションを使えば、これ位のこと、ソードアートオンラインを作り上げた茅場昭彦には不可能ではないはずだ。
でも、
「一体、なんのためにこんな事を・・・・?」
こんな,1万人の人々をゲーム内で監禁するようなことをして,茅場昭彦に一体どんな利益が生まれるというのか。
その言葉はアスカの口からだけでなく、多くのプレイヤーの口から発せられた。
全員の目が、再度、〈それ〉へと集まっていく。
「諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ私は――ソードアートオンライン及びナーブギア開発者の茅場昭彦はこんなことをしたのか? これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と」
一瞬の溜めの後、
「私の目的はそのどちらでもない。それどころか、今の私は、既に一切の目的も、理由も持たない。なぜなら・・・・この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、鑑賞するためにのみ私はナーブギアを、ソードアートオンラインを創った。そして、今全ては達成せしめられた」
初めて、感情の込められたように感じた言葉を〈それ〉は口にした。
「・・・・以上で〈ソードアートオンライン〉の正式チュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る」
そして、そのまま、現れたとき同様に、血の固まりとなった〈それ〉は第2層底部へと消えた。
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