第29話 二つの存在(後編)
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「いつかはここに来ると思っていました」
理事長はウチらがここに来ることは想定していたらしく、理事長室に入った瞬間理事長は笑みを浮かべてソファへ座ることを促す
えりちは「いえ、お構いなく」と丁重に断って理事長の机の前に立つ
「単刀直入にお伺いします。大地くん....いえ、笹倉くんの転学に関して何故このような措置をとったのですか?」
えりちのその睨みつけるような顔はあの時と同じ顔をしていた
あの時.....μ'sを敵視し、彼女達の行動を邪魔していたあの時のえりちがここにいた
「理事会で話し合った結果なのです.....音乃木坂学院は来年度も生徒募集を行うことになりました。廃校を阻止するために採用した男子の特別受入.....試験生を必要としなくなったのです」
「そ、そんなことって!!」
バンッ
「えりち!落ち着いて」
机を叩いて苛立ちを露にする親友を取り押さえる
かといってウチだって平常心なわけやない
今言った事が本当なら、大地くんがここに来た意味がないんや
大地くんがどんな思いでここにやって来たのかはよくわからない
でも、μ'sの手助けをしている姿は決して嫌がっているようには見えない
穂乃果ちゃん達とファーストライブに向けて準備して
夢があるのに一歩先へ進めない花陽ちゃんの背中を押して
過去のトラウマから抜け出せず自信の無かった凛ちゃんを救い、
自分の夢を諦め押し殺し、両親の為に頑張ってきた真姫ちゃんに手を差し伸べて
孤独に耐えながら待ちわびていたにこっちにチャンスを与えて....
そして、自分に素直になれなかったウチの親友えりちを受け入れて
廃校をなんとかしたいという思いは大地くんだって一緒やったはずなのに.....
どうしてこうなるんやろうな.....
「絢瀬さん」
「なんでしょうか?」
「あなたは笹倉くんにここにいて欲しいですか?」
「当たり前です」
理事長の問いに対して即答する
「それは何故?」
この時、理事長はえりちの事を試しているんやと感じ取った
《あの時》のえりちと、《今》
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