第十六話「占い屋」
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タチカゼは荒野を彷徨い、しかし旅を続けねばなりませんでした。それはこの旅がヨツゥンヘイムで自分がなす
べき何事かを町をいくつか通るうちに自覚したからでした。最初の奴隷の町を脱したあと幾通りも町を行き来し
てタチカゼは自分の想いを強くしていきました。そして核心へと旅は急激に迫りつつありました。
つまりなぜ、王国が自分を必要とするのか。
最近、魔物が多く出没し、森のもともとの生物や鳥たちはひっそりとなりを沈め、中には、オーク
やトロルのように武器を使うものが出始め、そして群れになって旅人の隊を襲ったり、辺境の村に
襲撃をかけたりするようになったからでした。魔物たちはその出生は、強大なる暗黒の力が現れる
時、その暗黒の波動によってただの石になって何年も森や山や谷の奥で眠っている者たちで、それだから旅人たちはあまり森や山を好みませ
んし谷などは必要に迫られなければ通りもしません。
ヨツゥンヘイムへ行くには多くの山や谷を越えなければなりません。天馬でも山々の高さは超えられません。
唯一川の清き流れだけがヨツゥンヘイムの白き賢者の御手によって悪しき者たちの進行を止め、川の水には彼らを消し去る力
瞬にしてもとの白い灰に戻ってしまうのです。ですから川にはいつも守り人がついていますし、谷を抜ける際には、川で樽を20樽ほども持
ち、馬車にのせていくものなのでした。ですが最近その川の流れがよどみ始めているというのです。
タチカゼはバスカムという宿場町で有名な占い師を訪ねました。タチカゼ自身は、旅には慣れていますし、話の冒頭でオークとやりあった
ように強い剣士でありました。ですが伯爵の城を後にして以後、なにかしるしが欲しかったのです。
「占い屋」のウラヤという老婆で二つの目はもう見えずともその心眼ですべての事象を見る力がある
のです。ただ呪い師や占い師には偽物のインチキまがいの者も多く歌われた文句はただの飾りで
インチキをふっかけるものも多いのでした。タチカゼはそれで町の宿場を何件かたどりそういった
人を見てきましたが宿場町で噂される以上のことをしゃべるものは少なく、あてが違うかインチキをふっかけてくる輩ばかりでした。
タチカゼには魔法の力がありますので少し念じればその人物の頭の中などは手に取るようにわかります。なのでたいていは逆に驚かれてぜひ弟子にしてくれなどと言い出す始末で思うようにいかなかったのです。しかしウラヤという老婆は違いました。なんと宿場町できつけに茶
などをすすっていたところを呼び止められたのです。老婆はこんなふうに語りました。
「もし、おまえさんは、大変な使命を負っていなさるね、わしでよければ一つ手助けになろう、じゃ
があまり
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