第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#12
VERMILION&PLATINUM DANCE
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。
「ッ!?」
言われたシャナはキョトンとなる。
「ギリシアの史家、プルタルコスの言葉だ。古き 『戦友』 の受け売りだがな」
そう言うとジョセフは、少しだけ淋しそうな表情をその顔に浮かべ、
自嘲気味に笑う。
「その男」 は、もうこの世界にはいない。
今は此処とは違う別の世界で、
“JOJOのヤロー、オレのセリフでカッコつけやがって ”
とでも言っているのだろう。
「君は、 「恐怖」 を知った。
あとはそれを乗り越え、「成長」 に変えていけば良い。
それが「生きる」という事だ。
ワシも “アイツ” も、そうやって強くなっていった」
「アイツ?」
シャナのその質問に、ジョセフは穏やかな微笑だけで応じた。
その瞳には、微かに切なげな色があった。
もし “アイツ” が現在、“この場所にいたとしたら”
果たして一体、何と言っただろうか?
“マンマミヤー! 可愛らしいお嬢さん! 貴女が御無事で本当に良かったッ!
御安心ください! この私が全力で貴女を御護り致します!!”
とでも言ったのだろうか?
もっと共に生きていたかった。
喩え一分でも、 一秒でも。
同じ 『宿命』 を背負う者として、共に切磋琢磨し、
辛い時も苦しい時も、互いの存在が自分を支えてくれた、
本当の “親友” だったから。
互いが互いの、「誇り」そのものだったから。
自分の家族を、見せてやりたかった。
自分の孫を、逢わせてやりたかった。
そして。
最近出来た、紅い髪と瞳を持つ、誇り高く心底負けず嫌いなもう一人の 「孫」 も。
そのもう一人の孫に、ジョセフは優しい口調で言い聞かせるように告げる。
「大丈夫じゃ。君ならその 「経験」 を糧に、今よりもっと強く
「成長」 する事が出来る。このワシが保証するよ」
目の前の少女、その小さな姿に何故か、
かつて偉大なる 『風の戦士』 に啖呵を切った若き日の自分が折り重なった。
(乗り、越える? 「成長」 ?)
身体の 「生長」 が止まった、フレイムヘイズで在る自分には、
いまいちピンとこない話だった。
だが、奇妙な説得力が実感としてあった。
その自分の心情を知ってか知らずかジョセフは、
春の陽光のような優しい微笑みを向けてくる。
「得体の知れぬ、それも “アノ男” を相手に、
よくたった一人で孤独に闘ったと思うよ。その小さな躰でな。
シャナ。ワシは君を誇りに想う」
「……ッ!」
ジョセフのその穏やかな言葉に、シャナは何故か目頭が熱くなった。
反射的に俯いて目蓋の裏に力を込める。
自分も含めて、今まで逃げた事を罵るフレイム
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