ハイスクールD×D ぼくと先生と『私達』
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しているのではないのか。『先生』の目的がわからない。問いただしたいが、ミリキャスが信頼しきってしまっている。なんとかできないだろうか。
「ねえ、ミリ、お母さんもその先生に会えるかしら?」
「分からない。今度先生に会ったら聞いてみる」
「そう。ありがとう」
その日、ミリキャスを寝かせた後にすぐサーゼクスの元へと向かい、全てを打ち明けた。最初はノイローゼを疑っていたが、それでも最終的には私のことを信じてくれた。翌日には、ミリキャスが先生はいつでも訪ねると、その間はジャック達が面倒を見ると伝えて欲しいと言ってくれた。ジャック達が面倒を見るということはミリキャスが寝た後ということだろう。そして、サーゼクスの時間が空いている日を伝え、当日を迎える。ミリキャスが眠った後、しばらくして気配が変わる。ベッドから起き上がり、どこからかコートを取り出してそれを羽織る。
「初めましてだ。私が先生だ」
「君は、一体なんなんだ?ミリキャスに取り付いているのか?」
「ある意味ではそうだ。まあ、イレギュラーが発生した結果こうなっていると告げよう。これは私に取っても『私達』に取っても想定外の出来事だ」
「『私達』?なんらかの組織を指しているのか?」
「違う。『私達』は組織でもなく、名前でもない。そうだな、説明が難しい。強引に解釈するのであれば『私達』は生まれてこれなかった命であり、漂ってしまった命だ。それらは私を中心として集まり、『私達』を構成する。『私達』はただ帰りたいのだが、帰れない。帰れないのは寂しい。温もりを強引に求めてしまうこともある無垢なる邪悪。言語化するのは難しい。つまり何が言いたいのかといえば、ミリキャスは一時『私達』になっていたがそれを引き戻そうとする力があった。私はそれを手助けしたのだが、予想以上に引っ張られてしまった。心当たりがあるはずだ」
先生の言葉に思い当たる節がある。お腹の中のミリキャスが流産しそうになったときのことだ。確かに最初は蘇生に手応えがなかった、諦めかけたその時に急に手応えを感じた。先生の話と合致する。
「つまり、ミリキャスに害を及ぼさないと思っていいのかい?」
「無論だ。『私達』を害するつもりはない。私は須らく子供の味方である。同時に殺人鬼でもあるがね」
「「殺人鬼!?」」
「正体がわからなければ不安だろう。くくくっ、だから私が誰か当ててみたまえ。私は生前は人間だ。望まぬ殺人を多数行ない、望んだ殺人を多数行ない街を恐怖のどん底に陥れた殺人鬼だ。狂ったわけではない、殺人が好きだったわけでもない。だが、やらねば耐えきれなくなった弱い人間だ。だけど、『私達』は私のそばに集まってきた。だから私は『私達』に私の全てを与える。いつか『私達』がここ以外の場所でも生きていけるように。
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