第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#11
闇夜の血闘 紅の魔術師VS幽血の統世王V 〜World's End〜
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が、ようやく口を開いた。
「我は……我は今まで……「恐怖」 というものを感じた事がなかった……
これが……これが 「恐怖」 なのか……? これが……ッ!」
紅世の王、天壌の劫火の胸の内に感嘆にも似た感情が走る。
「……彼の者の力……決して侮っていたわけではないが……
お前に討滅出来ぬわけでもないと思っていたのもまた事実だ……
まさか……まさかあれ程とは……
赦せ……あのような者の前にお前を立たせてしまうとは……
出会ってはならなかったのだ……
今は……まだ……」
アラストールは悔恨を滲ませてシャナに言う。
「いいの……アラストールの所為じゃない……」
寒いわけでもないのに震える全身を黒衣で抑えながら、シャナは言った。
「それに解った……今のままじゃ……アイツに勝てない……
それにアイツ……実力の1%も出してなかった……
猫が鼠を食べる前に甚振るように……遊んでた……
今こうして生きてるのが……不思議な位……」
勝てない。
解らないけど、あの 『光』 の前では何をやっても全て通用しない。
そう、何もかも。
“天破壌砕”さえも。
「あの 『光』 の本質が、何で在るのか想像もつかぬが……
力の是非などという些末なものでない事は確かであるようだ……
仮に我が “顕現” したとして果たして通用するか否か……
それだけの畏怖を感じた……」
DIOのスタンド能力。
『世界』 の本質を、この時二人はまだ理解していなかった。
が、シャナ、アラストール両者の考えは、偶然かそれとも運命か、
その一面を正鵠に捉えていた。
そして。
“解ったところでどうしようもない” という絶望も、また。
生命がいずれ尽きるように、どんな強大な力も、
喩え天を割り、地を引き裂く力だったしても、
“届かなければなんの意味もなさない” という事を。
「……」
シャナの眼下で、ニューヨ−クの夜景が輝いていた。
先刻数q先で起こった悪夢など、意に介さぬといったように。
諦めたのか、それともいつでも捕らえる事が出来るという自信なのか、
DIOはシャナを追ってはこなかった。
ビルの壁面を足場にしながら天空を駆けるシャナの眼前に、
夜空を切り刻むようにしてそびえ立つ摩天楼が迫る。
そのハレーションが全身を白く照らした。
シャナはそこで、初めて後ろを振り返った。
「アラストール!」
「むぅっ……!」
背後で。
人間の目には見えない黄金の光が、紅い封絶から月に向かって立ち昇っていた。
その圧倒的な存在感により、大地から月にかけて黄金の階段が出来たようだった。
それを行っているのは言うまでもなく、アノ「男」だ。
この
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