第一物語・前半-未来会議編-
第九章 夜中の告白者《3》
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は分からない。
その隊員が伝う縄はすでに地に付き、真っ直ぐにそれが来る。
『今の発言は宇天学勢院との接触を取るものと判断し、正式に暴動と見なす』
空に浮かぶもう一つの映画面|《モニター》から、そう告げられた。
は? とセーランは言い反抗する。
「暴動じゃねえだろ、俺達何もしてねえぞ」
『先程打ち上がっていた花火から、異常な流魔量を感知したとの報告があった。普通の花火ならば感知出来るほどの流魔は含まれていない』
「あー、くーそう。高く打ち上げるために流魔を注入したのは間違いだったかあ」
『何やってんだお前は――!!』
飛豊の怒鳴り声に後ずさるが、行動と見なされ銃撃が放たれた。
足元から数センチ離れたところへ、的確に狙っている。
下手に動くことが出来ない今、セーランは仲間の様子を気にした。
「そっちはどうよ。見た感じそっちにも監視艦行ってるぞ」
『今その艦から隊員が降りてくるのを防いでんだ。行くならさっさと行け! 捕まるぞ!』
「わーかってんよ」
『こっちで出来るだけ時間稼ぐからお前はやれることをやれよ? じゃあな、映画面切るぞ』
そう言い映画面が消え、降りてくる黄森の隊員の方を見た。
突如、西二番貿易区域の全ての照明の明かりがついた。
あいつら、さっさと逃げればいいのによ。
いきなりの光に目が眩む。それは降りてくる隊員も同じだ。
周りが明るくなったお陰で、降りてくる人数は七人と確認できた。その隊員も突如の閃光により、降りるのを途中で止める者や縄から落ちるものもいた。
まだ地上からは四メートル以上あった。落ちたら足を痛め、動けないだろう。
だから動くなら今だ。
セーランはコンテナを蹴り、直線に走る。
だが経験を積んでいる者、熟練の隊員はすぐさま崩れかけた態勢を立て戻し、銃撃を放つ。
鉄の弾が飛ぶ。
それをコンテナを背に避け、そして走り出す。
「訓練用のコルク製打撃弾を鉄製に変えたのやつか。禊ぎ系術か加護で無駄なもん削いで飛距離を伸ばしてるな」
地面に敷かれたコンクリートを削り、弾が跳ねる。
金属音が響き、それが幾つも重なる。
撃たれた弾の形状は、二センチの棒状弾だ。通常の飛距離と貫通を意識した弾ではなく、打撃のみを意識した弾だ。コルク製の弾はよく模擬戦などに用いられる。弾先と後ろが平面のため摩擦や抵抗を受けやすい、そのため使うときは禊ぎ系術か、加護が必要となる。当たると打撃のような衝撃のため、打撃弾と呼ばれている。
走りながら北側を見る。
監視艦が一艦あり、さらに北の方。霊馮山と日来の境目辺りにも、もう一組の仲間を取り押さえるため監視艦が浮いていた。
「ったく、ここの停泊場二キロの正方形とか、どんだけ広いんだよ。まあ、日来は横十キロ強、縦八キロ弱とか本当
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