第一物語・前半-未来会議編-
第九章 夜中の告白者《3》
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ンテナの後ろにいた二人は逃げようとした。が、遅かった。
巫女候補の美兎の束縛系術により捕らえられ、その反動でコンテナの後ろに顔が消えた。
「ふふふ、痛くありませんよう? 痛くないですからねえ?」
「束縛系術を使うとはな、止めろ。指揮官命令だ」
「断りまあす」
「止めてくれたら五千、五千で手を打つわ!」
「お金だけ貰って、後は知りませえん」
「この鬼巫女が!!」
コンテナの後ろにいるニチアのその言葉を最後に、後から聞こえるのは悲鳴となった。
何を禊れているのか、コンテナの背後から光が漏れ出す。
飛豊は生きていることを祈り、心の中で合掌をする。
どうかいい具合に禊がれていますように。
先程まで、あーとか、ぎゃーとか、色々聞こえたがそれが止んだ。
禊ぎが終わったのだろう、何故か肌がツルツルになっている美兎がコンテナの後ろから出てきた。
「上機嫌だな、何したんだ?」
「世の中には、知らない方がいいこともありますよ」
「そ、そうだな」
妙に上機嫌な様子に、身の危険を感じ追及するのを断念した。
逃げるように、顔を映画面に戻しセーランを見る。
黙っている。
人形のようにその場を動かない。
どうしたものかと考え、言葉を放った。
「よく聞けセーラン。昔のことはどうでもいいから今は告白の最中だぞ、カッコ悪いところを見せるな」
言葉は帰っては来なかった。
予想していた通りだ。
しかし、彼がこれ程のショックを受けるのかと疑念を持つ。
セーランはいつもそうだからなあ。
最近の彼は悲しんでいるも思っていたら、それが嘘だったことがよくある。
思い返せば、セーランはまともに悲しんでいるところは最近は見ていない。小等部のときは、今とはかなり違ったが。
小等部のときのセーランは、表に出るような少年ではなかった。むしろ、皆の後ろに付いていくようなおとなしめの少年だった。だが中等部を境に、彼は変わった。よく笑うようになり、話すようになり、
馬鹿にもなったあ……。
最後のはほっといて、まあ、あいつなりに考えがあってのことなのだろう。
そして今、その馬鹿は動こうともしない。
「ゆうきだして」
「琴姫の言う通りダ、クヨクヨしててもしかないヨ」
『…………』
美琴と空子と言葉にも、答えようとはしなかった。
飛豊は、自分の胸の前に顔を出す灯を言う、
「明も何か言って慰めてくれないか」
「何よ、私にやれっての? しょうがないわねえ」
そう言い、明は映画面にいるセーランを見た。
そして息を大き吸った。
「想い人って宇天学勢院の長だったのね!?」
「今言うか――!!」
とうに解っていたことを、まさに今聞いたように灯は驚きの声を上げた。
飛豊の声の後に、言葉の羅列が流れた
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