第22話『開幕』
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「まだ疑うか。じゃあお前で試してやるよ」
「へっ!?」
あまりの発言に副部長が驚く。
そして部長は続けた。
「さっきからグチグチ言ってるけど、要するに体験しないとわかんないって事だろ? お望み通り、身を持って味わえ」
「え、いや、ちょっ──」
有無を言わせず、部長は副部長の手首を手錠の様にテープで縛った。
すると、何ということでしょう。
副部長が急に大人しくなりました。体だけは。
「放してよ!」
「やなこった。ちなみにこのテープは、俺の能力の一部である“麻痺”の力を埋め込んで作ったもので、動きは封じるけど口は封じない設計なんだよね〜。だから精々足掻いてな♪」
部長はノリノリでテープの説明をする。
だが副部長が黙っている訳がなかった。
「はいはい、アンタの発明品の凄さは分かりましたから・・・放しなさいよ!!」
結局は「放せ」の一点張りな副部長。
すると部長は煩わしいと言わんばかりの勢いで、こう言った。
「うるせぇな。襲うぞ?」
途端、副部長が顔を赤らめて黙る。何かに困惑しているといった様子だった。
まぁ「襲う」という危険なワードに反応するのも分かるよ。俺も熊に襲われた訳だし。
あ、でもそれに顔を赤らめるような要素が有るか? 不思議だ。
それ以降、体育祭が始まるまで副部長は、何かをブツブツと恥ずかしそうに小声で言っていた。
「体育祭開催まであと1時間ってとこか。よし、暁、三浦、最終調整するぞ」
部長が時計を見ながら呟く。
確かに時間が結構経ったから、今では登校してくる子も何人か確認できる。
「暁も三浦も“魔術の調整”を頼む。拘束に行き着くまでには結局魔術が必要みたいだし。何かしらで敵に隙を与えるような使い方を考えててくれ。プログラムの中では最後の競技だから、何とか体力と魔力を残しとけよ」
部長が二言三言俺らに言う。
しかし、その言葉のある部分に俺は引っ掛かり、部長に質問した。
「え、通常競技で魔術を使うんですか?」
部長が言った「魔力を残しておけ」というワードが、俺は気になった。体力ならまだしも、魔力は関係ないのではなかろうか。
「ん? 考えてなかったのか? 競技で魔術を使うってこと」
部長は堂々と言った。
つまり、徒競走やら綱引きやらを魔術を使って勝負するということだろう。でもそれって・・・
「ズルじゃないんですか?」
魔術を使って勝負に勝つっていうのは、正直反則ではないかと俺は思う。皆は魔術を使えないのに俺だけ使うなんて、不公平というものだ。
「ズル? 何言ってん
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