第22話『開幕』
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ても良いのだが…。いや、起きるか。
やけに家が静かだ。
俺が一階へ行こうと階段を降りているとき、その音が家中に響いたため、俺はそう思った。
もしかすると、母さんらはまだ起きていないんじゃないか?
・・・起きていない方が好都合か。俺の魔術部所属はあまり明かしたくない。あの部活の雰囲気はとてもじゃないが不思議すぎる。だから、そんな部活に入っているから、と心配されるのは心外なのだ。
「暇だし、もう行くか」
俺は朝食の準備を始め、まだ早いのだが学校へ行くことにした。
別に生徒が早く来ても何の問題もないだろうし、向こうにいれば家族と余計な会話をしなくて済む。
それに、時間を気にしなくてもよくなるから楽だ。
「いただきます」
朝食を軽く作った俺は、すぐに食べ始める。
ちなみにメニューはご飯、味噌汁、牛乳、そしてデザートにバナナといった所だ。和食の中にバナナのチョイスはどうかと思うが、バナナは体育祭の必需品とも呼べる代物だ。これは外せない。
「ごちそうさま」
早々に食べ終わった俺は、いよいよ学校へ行く準備を始める。
必要なものは水筒とタオルと後は・・・まぁそれくらいしかないか。
「行ってきます」
そして誰も起こすことなく、俺は静かに家を出た。
*
「やっぱ誰も居ないよな」
学校に着いたが、周りに見えるのは学校の建造物と数名の誰かの親と先生方。生徒の姿なんて一つも見当たらなかった。
「さて、どこへ行こうか」
だがその言葉を言うよりも早く、俺の足はある場所へ向かっていた。
『魔術室』
──と、書かれている看板がある教室の前に、俺は立っていた。
やっぱりここが俺の居場所である。しばらくはここで過ごすとしよう。
俺は扉に手を掛け、いつもの様に開いた。
「よう、三浦」
こちらを振り返りながら、クールな声で呼びかけてくるクラスメートが、部室には居た。
しかもよく見ると、部室に居たのはその一人だけではない。
「ホントにこのメンバーで大丈夫なんでしょうね?」
「俺の頭脳に狂いはない!」
「じゃあ俺の頭脳と勝負しますか?」
「おっと暁、それはまた今度な」
暁君に部長に副部長。俺以外に魔術を使うことのできる三人が、既に部室に揃っていた。
相も変わらず口論をしていたようだが、今回は暁君も混ざっている。
「何でこんなに早く…?」
俺はたまらず思ったことを口にする。
すると部長はあっさりと答えた。
「偶然偶然。暁やお前も早く来たのは驚きだわ」
「ちょっと、何で私は予想通りなのよ!」
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