第三十三話 ラ・ロシェール強襲
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降下予定空域上空に入ったフネはパラシュート降下に移ろうとしていた。
隊員達はパラシュートを収納したリュックを背負い、それぞれ支給された。『場違いな工芸品』を持ち整列していた。
「時間だ。各員直ちに降下し、目標を確保せよ」
「コマンドー!」
「よし、行け!」
次々とフネから飛び降りたコマンド隊隊員。
ついにアニエスの番になった。アニエスには.38口径のリボルバーが支給されていた。訓練しているとはいえ12歳の女の子、ライフルを撃つのは無理と判断された結果だ。
そして、実戦に耐えられるといっても、あくまで伝令役や給弾係などが主任務だった。
「よし、次!」
「コ、コマンドー!」
アニエスは意を決して夜の空へと飛び出した。
山間部ながらも幸い風も弱くアニエスは予定通りの場所へ着地し、素早くパラシュートを回収すると、他の隊員に混じって、ラ・ロシェールの街へと山道を登っていった。
……
コマンド隊は『女神の杵』亭を囲むように配置を完了させた。
後方で指揮を取る隊長のド・ラ・レイは、突入部隊を指揮する副隊長に使い魔の猿のボーマンを同行させた。
使い魔のボーマンは字を書く事ができて、主人と使い魔との間にできる感覚の共有を組み合わせる事で、離れている隊長と隊員との意思の疎通が出来た。
「突入準備完了。目標の部屋割りも把握しています」
副隊長が準備完了を使い魔のボーマンにいうと、ボーマン通じてド・ラ・レイに伝わった。
「よし、始めろ」
ド・ラ・レイが作新開始を命じた。ちなみにアニエスは伝令役をしてド・ラ・レイの後ろに控えていた。
『ハジメロ』
使い魔のボーマンの書いた文字を見て、一人の隊員がフクロウの鳴き真似で作戦開始を全隊員に伝えた。
『女神の杵』亭はラ・ロシェールで一番上等な宿屋兼酒場で、1階部分が酒場、二階部分が宿屋になっていた。
しかも深夜で内乱中とあって、客足は疎らで戦乱を嫌って国外に逃げる商人が数人居た位だったが、数人の貴族が商人を追っ払っていた為、店内には護衛の数人の貴族と店主しかいなかった。
1階と2階、同時に突入しようとした矢先、酔った貴族が店の外へ出ようと席を出た。
『ホー、ホー』
異常を察した鳴き役の隊員がハトの鳴き真似をした。ハトの鳴き真似は『待て』の意味が含まれて、間一髪、突入を踏み止まった。
酔った貴族は店を出て、夜風に当たりながら散歩を洒落込もうとしていた。
周りには誰もいない、一人だけだ。副隊長はアイコンタクトで隊員に貴族の始末を命じた。
隠れている茂みから貴族までは50メイルと離れている。
銃を使えば銃声であっという間にコマンド隊の存在を知られてしまう
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