第6章 流されて異界
第146話 牛郎織女伝説
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心の中で舌打ちをひとつ。その後に用意してあったギャグを封印して、別の会話の展開を組み立てる為の時間稼ぎに前置きを。
そして、
「この後に、晩飯を深夜営業のファミレスにでも食いに行こうかと思っているんやけど、それに付き合ってくれへんか?」
一人でファミレスでの食事って、流石にわびし過ぎるから。
前後の会話の流れに不自然な点がない道の選択。但し、これをやって仕舞うと、旅館に帰った後に有希を誘ってからの夕食……と言う流れが無くなって仕舞うのだが。
「オゴリなら付き合って上げても良いわよ」
何それ? あんた、本当にお腹が空いていたの?
まるで俺の言う事を信用していない上に、相変わらずの上から目線。もっとも、腹が空いているのは事実なのですが、本来ならばコイツと一緒に食べる心算がなかったのもまた事実……なのですが。
但し――
但し、反応は悪くない。今の彼女は心持ち上機嫌。コロコロと、本当に猫の目のように変わる彼女の雰囲気に僅かな苦笑い。
何時も味方で居て……か。
彼女の歌声が未だ心の中で巡り続ける。
潜在的に……。彼女が大地母神であり続ける限り、俺は常に彼女の味方である。
しかし、もしも彼女が違う未来を選んだ時、果たして俺は彼女の味方であり続ける事が出来るのだろうか。
「元よりその心算――」
未来は定まらず。闇の救世主事件の際に顕われた彼女……最初の時間跳躍能力者のつぶやきを思い出し、其処に僅かな痛みを覚えながらも、そもそもコッチから誘うのやから、……と、表面上は軽口で応える俺。
その視線の先には、少しずつ深山の尾根が近付いて来ていたのでした。
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