第6章 流されて異界
第146話 牛郎織女伝説
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扱わせたら彼女以上の使い手を探すとすると、彼女の姉に当たる青い光を司る女仙ぐらいだったと思うから。
ただ……。
「その彼女が何故、俺の恋人や嫁扱いになっているのか、その辺りが謎、なんだよなぁ」
考えられるのは、あのエピソードが後世に伝わる段階で恋人、更に機織女だと言う風に言われる原因となったのだと思うけど……。
普段とは違って、あまり茶々を入れて来る事のないハルヒ。少し拍子抜けのような気がしないでもないが、それだけ俺が話して居る内容を真剣に吟味している……と言う事なのでしょうか。
無言で続きを促すハルヒ。そのエピソードと言うヤツを聞かせろ。そう言う事。
「ある時、俺が任務で遠方に出掛ける事があったんやけど、その時に彼女が旅の安全を願って領巾を贈ってくれた事がある」
領巾……分かり易く言うと天女の羽衣。これには毒虫……毒蛇や害虫から身を護る呪が籠められていると言われている物なので、旅の安全を願う女性から男性に対して送る場合もあった。
確かに当時の俺は今の俺よりもずっと高い能力を駆使出来たが、今よりもずっと技術のレベルが低い時代……もしくは、異世界での旅。その危険度はこの世界で宇宙旅行に行くのとあまり変わりがない状態だったと思う。
今と成っては遙か遠い昔の思い出。この当時は自らの旅路がこれほど長い道のりとなる、などとは想像……ある程度の覚悟を持って居る心算だったが、現状は流石に当時の想定以上だったと思わざるを得ない状態。
確かに自らが望んでこう言う道を選んだのだが、今の俺……いや、転生を繰り返す度に存在するすべての俺の未来を、当時の……神代の時代に生きた俺に決める権利が本当にあるのか、と疑問に思わない訳はない。
心の中でのみそう独りごちた俺。しかし、それは本当に内心でのみに留め――
「普通の場合、コレは自分の母親や姉妹が旅の安全を願って渡してくれる物なんだが、その時は何故か彼女が自らの纏っていた領巾を渡してくれた」
多分、このエピソードの派生が後の天女の羽衣伝説。天女の羽衣を手に入れると、その天女と結婚出来る、と言う伝説を産み出したんやと思う。
姑獲鳥やキンナリー。ハーピーにも似たような伝承があるので、俺の記憶の中にあるエピソードだけがすべての元だとも言い難いが、それでもハルヒの求めていた内容は話せた……と思う。
俺と相対す時は非常に現実的で、散文的な思考を有する彼女が、珍しく非常に詩的な思考の元でこう考えた質問に対しての答えとするのなら。
曰く、星に願いを――と。
「それで?」
それって、領巾を渡した段階で、織姫が旅に出るあんたの事を家族のように心配している、……と言う事の現れだし、あんたの方だって、織姫の事を
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