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オズのボタン=ブライト
第七幕その七
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「はじめてだったからじゃ」
「迷われたっていうんですか」
「多少な」
「まあ迷われたら」
 その時はとも言う係の人でした。
「私達がいますので」
「安心してよいな」
「はい、是非」
「まあ御主達の世話にはならぬ」 
 そのことは大丈夫だというのです。
「そこで気楽にしておれ」
「では」
「入るぞ」
 王様はにこにことしてです、係の人達に告げてでした。ボタンと一緒に先頭に立って階段を降りました。そしてです。 
 地下に入るとです、そこは床と天井が壁に完全につながっている迷路でした。全て石造りで中はとても明るいです。
 その明るい迷路を見てです、カルロスは首を傾げさせました。
「地下なのに明るいなんて」
「そうした石なんだ」
 王子がカルロスに説明します。
「自分から明かりを出すね」
「そうした石ですか」
「そう、それは弱い光でもね」
「全部その石で造られているから」
「明るいんだ」
 そうなっているというのです。
「この階も他の階もね」
「そういうことなんですね」
「だから明るさは問題ないから」
「安心して行けばいいですね」
「そうだよ、じゃあ行こう」
「わかりました」
 カルロスは王子の言葉に笑顔で頷きました、そして。
 皆で先に進みます、先頭にいるのは王様とボタンで一番後ろにはジュリアが木挽の馬と一緒にいます。そのジュリアにです。
 つぎはぎ娘は軽やかに踊りつつ歩きながら聞きました。
「どうして一番後ろにいるの?」
「ここに私達がいてね」
 そしてと答えたジュリアでした。
「皆がはぐれない様にしているの」
「見張りね」
「そうしたところね」
 実際にという返事でした。
「今の私はね」
「僕もだよ」
 馬もつぎはぎ娘に言います。
「それで一番後ろにいるんだ」
「そうなのね」
「姫様に言われたの」
 他ならぬオズマにというのです。
「私達が一番後ろにいて欲しいってね」
「確かにあたしが一番後ろだとね」
 つぎはぎ娘は今も踊り続けています、その動きは軽やかですが今にも何処かに行ってしまいそうな感じです。
「誰も見ていないとね」
「そのままよね」
「何処かに行ってしまいそうね」
「ジュリアも馬もしっかりしてるからね」
 つぎはぎ娘は言いました。
「一番後ろにいたら安心出来るわね」
「ここで皆を見ているから」
 微笑んで言うジュリアでした。
「安心してね」
「それじゃあね」
「この迷路は」
 王様、そしてボタンの後ろにいるカルロスが言うには。
「モンスターとか出ないですね」
「うむ、そうしたのはおらん」
 全くと答えた王様でした。
「生きものも住みついてはおらん」
「そこがエジプトのピラミッドとは違いますね」
「エジプトって?」

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